手掛けるのは、家の顔。
美しくて高断熱な玄関ドアです。
能代市の建具店「コシヤマ」。
売り上げの9割以上が、この木製ドアです。
いま、全国各地から依頼が舞い込み、来年の分まで予約が入っています。
オ-ダ-メイドのスタイルで、一般住宅のみならず、さまざまな施設にも使われています。
なんとあの「ジブリ美術館」のドアもコシヤマが製作したものなんです。
完成まで1年以上を費やした自信作です。
2020年、秋田杉を使った新たな商品開発を始めます。
玄関ドアで一点突破!木の都・能代を盛り上げたい、町工場の挑戦です。
高性能ドアの秘密
まずは、自慢の高性能ドアの秘密をちょっとだけ教えてもらいましょう。
ドアの内部には、「芯」と呼ばれる部分があるんです。
そして、もちろん、ベ-スにあるのは職人の技。
0.1ミリ以下、ミクロ単位の厚みを指先で感じて仕上げる技術があるからこそ、様々なオ-ダ-に対応できるんです。
価格は、大手のおよそ1.5倍。
それでも、年間でおよそ200件の注文が寄せられています。
社長の腰山真司さん
開発したのは、社長の腰山真司さん。
木を使ったモノづくりが大好き。
おじいさんは家具、お父さんはふすまなどの内装建具を作ってきました。
そして、三代目は玄関ドア。
時代のニ-ズに合わせ、家業を守ってきました。
しかし、2019年1月。
腰山さんは脳梗塞になりました。
4カ月の入院生活を経て、なんとか職場復帰できたものの、右半身には後遺症が残りました。
病気で一度立ち止まったことで、やりたいことがハッキリしたと言います。
考えたのは、あまり使っていなかった秋田杉による高機能玄関ドアの開発です。
そのアイデアは、今年2月、国の事業に採択されました。
実は秋田杉はいまも商品にラインナップされているんですが、ある理由でオススメしにくいんだそうです。
柔らかくて軽いスギは、加工しやすいのが特徴。
でも、雨風にさらされる玄関ドアとしては、キズがつきやすく、オススメしにくいんだそうです。
地元の魅力を全国へ
能代は古くからスギの産地として栄え、明治のころには、「東洋一の木都」と呼ばれていました。
しかしいま、スギの人工林面積では全国トップであるものの、木材・木製品の出荷額は12位。
しかも、減少傾向にあります。
腰山さんは、地元の木材の魅力を全国に発信したいと考えています。
この日、腰山さんが訪れたのは、木材高度加工研究所。
柔軟性のある木材など、木の新しい可能性を追求する、秋田県立大学の施設です。
腰山さんとタッグを組んで、スギの木目はそのままに、もっと強い素材を研究しています。
腰山さんが考えていたのは、熱による圧縮です。
若手からベテランまで、新素材に興味津々です。
動き始めたアクション。
腰山さんは2年後の製品化を目指します。