境内に1500株ものアジサイが咲く、男鹿市北浦の雲昌寺。
去年は6月から7月にかけておよそ5万人が訪れました。
冬を越して、今年も近づいてきたアジサイのシーズン。
15年かけて少しずつ境内のアジサイを増やしてきたのが寺の副住職、古仲宗雲(こなか・しゅううん)さんです。
古仲さんが毎日手入れをして、今年もようやく咲き始めた青いアジサイ。
しかし新型コロナウイルスが猛威を振るう中、観光客を受け入れるべきか否かで古仲さんも地域住民も揺れています。
アジサイに地域活性化の夢をかける古仲さんと経験したことのない感染症に揺れる地域の人の思いを取材しました。
“あじさい寺”として知られる男鹿市北浦の雲昌寺(うんしょうじ)です。
先月のはじめ、境内ではアジサイの芽が出始めていました。
掘り起こしていたのはこれから生長しようとするアジサイの株です。
その株を境内の別の場所に運ぶ古仲さん。
花が咲いた姿を思い浮かべながらすき間がないかを慎重に見極めます。
境内に均一に青い花が広がるよう、株の密度が濃いところから薄いところへ植え替えます。
古仲さんには、小学生から大学生まで4人の子どもがいます。
この日は奥さんと4人の子どものほか、親戚も食卓に集まりました。
北浦にも本格的な春がやってきました。
この時期、雲昌寺の境内は、日に日に緑が濃くなります。
長男の宗弘(しゅうこう)さんは、東京の大学で仏教を学んでいます。
新型コロナウイルスの影響で大学は休み。
父親の宗雲さんに教わりながら初めてアジサイの作業を手伝っています。
去年はおよそ5万人がこの場所を訪れたアジサイのシーズンが迫っています。
今年は、新型コロナウイルスの影響で各地でイベントが中止になっています。
地域住民の理解が得られなければ、観光客を受け入れ、アジサイを見せることはできません。
毎年アジサイの時期に、観光客の案内などをしている地域のボランティアが集まりました。
拝観の方針を決める会議ですが、古仲さんは急きょ葬儀が入ったため、出席できませんでした。
葬儀を終えた古仲さんが北浦に戻った時には会議は終わっていました。
すぐに向かったのは、会議を取りまとめた地域ボランティアの会長のもとです。
古仲さんが、自分の子どものように育ててきた境内のアジサイ。
地域住民の後押しを受け、今度は寺の役員の意見も聞いた上で慎重に観光客の受け入れを判断します。