2021年5月20日(木) かおり取材
男鹿市鵜ノ崎海岸を眺める場所にある秋田県水産振興センター。
海や川などの水産資源を維持したり、増やすための研究が行われている場所です。
また、私たちに美味しい魚介類を届けるための研究も行われています。
今は、ワカメの“ある作業”で大忙し!ということで、お話を伺おうとおじゃましました!
迎えて下さったのは、秋田県水産振興センター 増殖部 研究員 高橋佳奈さん。
現在、大忙しで行われている作業とは?
「ワカメの種のオス・メス分離作業」です!!
「水産振興センターでは、毎年、メカブから種を採り、養殖用ワカメの種糸を生産しているのですが、今は、ワカメの種がオスメス判別できる大きさになったので、分ける作業をしています。」と高橋さん。
「普段スーパーで目にするワカメは、オスでもメスでもない『無性世代』とよばれるもので、オスメスの区別はありません。春先、ワカメ根元の成熟したメカブから種が出ると、1ヵ月ほどでオスメスの判別ができるようになります。」
こちらが、オス・メスの判別が出来るようになった「ワカメの種」
1mmにも満たない大きさです。
研究室の顕微鏡を覗くと!
フワフワとした形が見えました。
メスは、1本1本の毛が太く、オスは細いという特徴があります。
高橋さんは、顕微鏡で覗いてオス・メスを判別。刃先が細いピンセットでつまんで分離していました!
「メスを取っている時に間違ってオスに触れてしまうと、オスのかけらがピンセットに付いて、勝手に受精し成長していくので、その都度ピンセットを消毒しています。オスとメスが混ざらないよう、作業中は全神経を手元に集中させてます。時間のかかる作業です」と高橋さん。
本当に細やかな作業です。
このシャーレおよそ300枚分のオス・メス分離作業を行っていくということ!!
研究室では・・・
分離したオス・メスがそれぞれ育っていました!
「9月までこの種を培養させた後、たこ糸ほどの太さの糸に種を付けていきます。ワカメは、オスとメスが受精することによって発芽するので、種を塗る際に、適正なオスメスの比率で塗っていきます。 そのためにも、今行っているオスメスを分ける作業が非常に重要です。」
発芽したワカメの種糸は、11月頃に漁業者さんに配布。
漁業者さんが自分のロープに種糸を巻き、海に沈め!ワカメが養殖されます!!
今、オス・メス分別されたワカメが、こうして無事に海の中で育ち、収穫されるのは来年2月頃から!
春、4月ころまで旬の生ワカメが食べられるということです。
「道の駅やスーパー、県内各地区の直売会で販売されますので、より多くの人に秋田のワカメを食べてもらえたらと思います。近年、温暖化傾向の海の中で生産量を安定させることは中々難しいところではありますが、しっかり種糸を管理し、また漁業者さんの知識や経験から良かった条件・悪かった条件を整理して対策を立て、毎年たくさんの養殖ワカメができるようになればと考えています」
大きく育ち、海から収穫される秋田のワカメに、知られざる、地道な作業があることを目の前にしたラジパルです。
これから、旬のワカメを手にする時には、秋田県水産振興センターでの「ワカメのオス・メス分別」という細やかな作業があることを思い出して味わいたい☆と感じました!
☆ラジパルこぼれ話☆
研究員 高橋さんに教えてもらった「ワカメのおススメの食べ方」
葉の部分はしゃぶしゃぶ。
茎はさっと湯がいて刻んでごま油などで炒め、きんぴらゴボウの味付けで食べるのがおススメ!とのこと。
「美味しくて無限に食べられます!」
ラジパル、また、秋田県水産振興センターにおじゃまして、さまざまな研究を追いかけます^^