かつて鉱山で栄えた小坂町。 労働者達を労うために建てられた芝居小屋の康楽館。 落成は明治43年。 115年経った今でも、現役です。 建物の正面は洋風の建築様式。 屋根は唐草を描いた棟飾りと、軒飾りで装飾されています。
一方、館内は和風。当時の芝居小屋としては珍しく、和洋折衷の建築様式が採用されています。 舞台裏に、康楽館の長い歴史が刻まれています。 壁一面に書かれている文字は、公演を行った役者たちが記念に書き残したサインです。 昭和2年に書かれたものが最も古く、以降、数多くの有名役者たちが名前を刻んでいます。 最大600人を収容できる客席、「桟敷」は、日本の芝居小屋特有の構造です。 舞台に向かって伸びるのは2本の花道。 両側の花道に役者が登場し、劇中の大きな見せ場を演出します。
本花道には舞台装置が設置されています。
切穴(すっぽん)と呼ばれる人力の昇降機。 地下の廊下から役者を花道へせり上げます。
歌舞伎では、幽霊や妖怪を演じる役者が乗り、登場場面の演出として用いられています。
場面転換を演出する装置は舞台にも。 円形に切り抜いた床を使った「回り舞台」です。 直径は、およそ10メートル。 明治時代に作られた舞台装置の中では、最大級です。 その仕組みは舞台の真下、奈落ありました。 およそ100年前に杉の木で作られた「ろくろ仕掛け」です。
力棒(りきぼう)と呼ばれる棒を人力で押すことで舞台が回転します。 長年にわたり親しまれてきた康楽館。 今年も多くの公演が予定されています。
お問い合わせ
住 所:小坂町小坂鉱山字松ノ下2番地
電 話:0186-29-3732
休館日:年末年始