2021年5月7日(金) かおり取材
仙北市角館町の桜を元気に咲かせよう!と1年を通して管理している
仙北市さくらアドバイザーで 樹木医の 黒坂登さん。
30年以上、角館の桜に向き合ってきました。
お話を伺った桧内川堤。
満開の明るい桜色で彩ったソメイヨシノは、葉を伸ばし、清々しい新緑の枝を風に揺らしていました。
「武家屋敷通りのシダレザクラ」も、美しく咲いた2021年。
「今年も、よく咲いてくれました。」と黒坂さん。
(写真:黒坂さんより)
こうして、角館の桜が咲くのは、1年を通しての管理作業があるからです。
「桜は、手をかければ、元気になろうとします。したたかなんですよ。」
桧内川堤に桜が植えられたのは昭和初期。樹齢は85年ほどになります。
ソメイヨシノが元気に花を咲かせる期間はおよそ25年ということ。
病気の枝の剪定や、肥料をあげるなどの作業を丁寧に行うと「寿命はない」と黒坂さんは考えています。
「幹の中の腐れてきたところから『不定根』が育ってきています。こうして手を掛けた分だけ応えてくれるんです。それも作業として行うだけでなく『いい花が咲くように』と、桜を『思って』行うことが大事なんです。」
「不定根」は、葉を伸ばし力強く育っていました。
黒坂さんは、作業をするメンバーとともに桧内川堤にある数百本のソメイヨシノ、1本1本に向き合っています。
また、ソメイヨシノの根元には大きな石がありました。
これは、わざわざ置いているということ!
「ソメイヨシノの根元を掘って、根の治療をしています。その時に掘り出した石を置いて、根を人に踏まれないようにしています。」
花見をされる方は、根の周りを踏まないようにお願いしたいですね。との声が重なりました。
一年を通しての管理で、最も手を掛けているのは「剪定」
高所作業車で、病気の木の枝を切っていきます。2月から花が咲く直前まで行っています。
(広報せんぼくより)
こちらが、病気の木。
この茂っているところの葉は、裏から胞子が出ているそうです。取り除いて、病気が広がるのを防いでいます。
また、豪華に咲くように、古い枝を切り落として若い枝を育てます。
若い枝は、花をたくさん咲かせるそうです。
黒坂さんには「目指す咲き方」があります。
それは「きりたんぽ咲」
枝が見えないほど、桜の花が、咲いている状況です。花の付き方が、まるで「きりたんぽ」のよう!
(写真:黒坂さんより)
また、咲き方には「満開」はもちろん、その先の「全開」があり!
桜の花びらの中心が赤く色づき、咲いて散る手前を指すそうです。
「全開の桜を青空バックに写真を撮って、記録に残しています。手を掛けて、手をかけていい花が咲いたときはうれしいですね。」
1年のうちの1週間から10日ほどしか、花を咲かせない桜。ていねいな管理の作業あってこその「満開」であることを感じました。
また、武家屋敷のシダレザクラは、個人の家の敷地にあることからまた、管理には気を使っています。
「シダレザクラは、なんといっても日当たりが大事です。敷地に育つ木々との兼ね合いが難しいのです。」
桜に寄り添って作業をする黒坂さん。
お話を伺い、感謝して、桜を見上げたい気持ちになったラジパルでした。