2020年11月13日 かおり取材
仙北市田沢湖生保内に、お話を聞きたいとお訪ねした大学生 田口雄大さん。
農家を志す 秋田県立大学4年生です。2020年は、休学し、さまざまな取り組みを動かしてきました。
「高校の時に少子高齢化や過疎化によって、日本の農業が危機的状況であることを知り、その課題解決のために少しでも力になりたいと思い、秋田県立大学に入学して農業の勉強を始めました。そうすると、農業は私たちが生きていくためにはなくてはならないものだし、すごい色んな可能性をもっていることが段々とわかってきて、自分も当事者としてその色んな可能性を掘り出していきたいと思い、農家を目指すようになりました」
農業についての学びを学業だけではなく、さまざまな場所で!そう考えた田口さんは、今年大学を休学。
今年の5月には、男鹿へ行き「0から農業を始めよう」と耕作放棄地を開拓し仲間と共に夏野菜を育てました。
収穫した野菜は秋田駅東口のアルヴェや県庁でマルシェとして販売しました。
野菜は、はじめに価格を設定せず「お客さんに値段をつけてもらった」のだそう。
「日本の農業の課題として、農家さん1人1人の思いが伝わりづらいというものがあるので、秋田若者マルシェではただ売るのではなく、お客様に自分たちがどんな思いで育てたかという話しを聞いてもらい、その上で野菜の値段を決めてもらうという方法を取りました。自分たちの思いに共感してくれる人がたくさんいるということを知れたのは大きな学びだった」と田口さんは振り返ります。
その後、もっとさまざまな農業の現場を知りたいと、福島県の会津若松市で1か月ほど農業を学びます。訪ねたのは会津の伝統野菜の栽培に取り組む長谷川純一さん。
会津の伝統野菜「小菊かぼちゃ」
「伝統野菜は種を通じて、時間や場所も超えて人を繋ぐすごいものなんだと実感しました」
秋田県内の農家さんもお訪ねし、目指す農家像が見えてきたという田口さん。
「潟上市飯田川 ファームガーデンたそがれの菊地晃生さんや 大仙市協和 t-farmの田口康平さんのように農薬や化学肥料に頼らない地球にも人にも優しい農業をしたい。そして、将来世代に残すに値するような未来を創っていきたい。」
ファームガーデンたそがれ 菊池晃生さん
t-farm 田口康平さん
田口雄大さんは、秋田駒ケ岳を望む、自宅の畑前から景色を目に映しながら「近代では自分が生きることよりも経済を回すことの方が重要視されてきて、色んな弊害が生まれている気がしていて、農業はその失った生きる実感を取り戻せるものだと思っています。田畑を通じて昔のように自然と共生することが出来たら、環境問題もだいぶ改善されると思っています」と この先をも見ている様子でした。
11/20~22にかけては、湯沢市で食と農を通じてより良い未来を創っていくことを目的としたイベント「ネクストローカル ガストロノミー」を仲間と共に開催します。
「コロナでローカルの魅力が再認識されていて、食と農はその中でも大きな可能性をもっていると思うので、それを深堀りしたい」
イベントは3日間かけて開催し、シェフを招いて、伝統野菜や発酵食を味わう企画や、学生が主体となって進める「シンポジウム」を行うのだそう。
招待者限定で開催。イベントの様子は、今後 発信するなどして、より多くの人に食と農の可能性を伝えていきたいと考えています。
2021年は大学に戻り、卒業を目指す田口さん。2020年、動いてきたことで得た実感を胸に「いずれは農家になり、実家のある仙北市田沢湖生保内で人の笑い声で溢れる田畑を創っていきたい」と、まっすぐなまなざしで話す姿が印象的でした!
田口雄大さんは「わげしゅう秋田会議」のメンバー!
大学生が秋田の社会問題について具体的に動いてみる!そんな取り組みを発信しています!「わげしゅう秋田会議」で検索してみてくださいね!
田口さんの畑には、会津でもらってきた種が芽吹き、伸びていました