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2021年9月23日

日本を元気にあなたの街のささえびと~本間均さん~

2021年9月17日(金) かおり取材

大館市比内町。秋風に揺れているのは「とんぶり」になるホウキグサです。丈150センチほどに伸び、まもなく収穫を迎えます。「とんぶり」は、大館市比内町が日本一の生産量を誇る秋田の伝統野菜です。比内町では、江戸時代から栽培が続いています。

とんぶり栽培に取り組む本間均さんは「地域に伝わる『とんぶり』をなくしたくない」という思いと共に、栽培に向き合っています。しかし、とんぶりは、収穫してすぐに食べられるわけではありません!!

ホウキグサの細い枝先に実ったこちらの「つぶつぶ」がとんぶり

 

とんぶりは、ホウキグサの実を収穫し、食用に加工したものです。その工程はなんと3日がかり!食卓にのぼるまでには、驚くほどの作業があります。

「とんぶりの実は、加工して初めて食べられるようになります。そのため、収穫したら日持ちするようにまず、乾燥させて保存します。そのとんぶりを、出荷するときに、加工所の大きな窯で煮て、実の皮を剥いて、何度も洗い、ごみなどを手で取り除いて出荷します。」と本間さん。

皮を剥く技術は、”ここだけのもの”、地域に伝わる「伝来の特殊技法」です。こういった加工技術が比内町にあったからこそ、生産が受け継がれていると言われています。皮を除くため、実を何度も洗う作業は、冬場も暖房なしで行われ、過酷な作業です。

 

 

加工が難しいこともあり、現在は生産者が減少。比内町での生産農家は7戸という現状です。

本間さんは、地域の畑も引き受け、現在8千キロ!のとんぶりを手掛けています。スーパーなどでみかける、とんぶり1袋で考えると、11万袋分 のとんぶりです!その分、加工、パッキングまでの作業があるということ。食べる時には、お皿の1粒も無駄に出来ない気持ちになります。

 

本間さんは、地域の東館小学校のスクールバス運転手もされながらとんぶり栽培と加工を行っています。「地域の特産品とんぶりについて子どもたちにも知ってもらいたい」と考えた本間さんは、東館小学校の校長先生にお話をしました。そこから、3年生がとんぶり栽培を行う授業がスタート!苗植えから収穫まで、本間さんの畑で行っています。また、4年生はとんぶりの販売を担当。大館きりたんぽまつりで販売を行っています。(今年は、おまつりが中止のため、道の駅ひないで販売を行います。)

(草取りの様子:東館小ウェブサイトより)※承諾済み

本間さん「小学生と一緒に栽培を始めたのが8年前。その時の児童が今は高校生になっています。比内中学校の生徒になってからも、高校生になってからも、とんぶりに関わり、作業してくれる姿が、地域や全国の人に知られることになり、広がりを感じています。」

 

(小学校の社会科の副読本でも紹介されている本間さん)※画像使用許可済み

 

2年前には、とんぶりの歌、とんぶりダンスも完成!子どもたちの作業や、歌、ダンスを通して、地域からとんぶりが発信されています。「地域のこどもたちから、とんぶりを栽培する農家が生まれたらいいね。伝統野菜であるとんぶりが、次世代に引き継がれるように私も、もう少し頑張りたい^^」と本間さん。

 

こどもたちが、新米にとんぶりをのせて頬張る時、その美味しさとともに小さな粒々がつなげる、地域の歴史と思いが響くかもしれないな。と感じたラジパルスでした。

本間さん、どうかお身体、気を付けて🌱