高校放送講習会2
出し惜しみしている講習会用の回答の2回目です。
みなさんから寄せられた質問とそれに対する田村の回答を、私的見解で掲載しています。
他局のアナウンサーでご意見ある方、やんわりとしたメールお待ちしています。
第2回は原稿作成に関する回答です。
現在田村は「ABS news every.」で記者も務めているので、さまざまなジャンルの原稿を毎日出稿しています。
分かりやすさ、要点、語感、構成、長さなど、1分のニュース原稿から5分の企画・特集の原稿まで様々なタイプの原稿を毎日書いています。
毎日書いていても、報道記者としては田村も未熟な点、至らぬ点が沢山あり反省の毎日です。
だから、ちょこちょこっと齧ったぐらいではとても身にはつきません。
アナウンサーの本来の仕事ではないものの、原稿を書くという仕事をすると、論理的に考えるクセがつくため、言いたい事をスマートに言えるようになります。
ある面白い出来事があったとき、話が上手ではない人が喋ると全く面白くないのに、お笑い芸人が話すと、大爆笑を誘うような話になる。
これはお笑い芸人が感覚的にスマートに無駄なく、しかもきちんとした構成を瞬時に組み立てて、初めて聞いた人にもわかるように話すから面白いんです。
特殊な技術だと思います。
原稿はある程度の時間をかけて「推敲」ができます。
机の上で練りながら
「どうしたらスマートに聞こえるか」
「このほうが言葉の響きがいいかな?」
「この表現、音できいてもわかりにくいな」
ということを考えながら、よりよい原稿に仕上げる事ができます。
こういうことは毎日繰り返さないと身につきません。
放送コンクールではどちらに重きを置くかわかりませんが、原稿とアナウンスの両輪を磨くのは大変です。
その分、放送部としても達成感も大きいと思います。
去年のアナウンス実践コースは松井梨絵子アナウンサーが担当していました。(★ブログ参照 2013年09月04日)
彼女も以前は毎日怒られ指導されながら原稿を書き、ジレンマを感じつつ成長してきたので、アナウンサー以上の能力を身につけてきた1人です。この能力は様々な点で応用できる力の1つです。また原稿を書くとフリートークにも役立ちます。他局で 記者に転向した元アナウンサーが、アナウンサー専門だったときよりも、格段にリポートが上手になっていたという例も知っています。
内容を把握し、余計な情報の取捨選択が出来て、必要な情報を自分で得る事が出来るためだと思います。
で、長くなったので2つ程度にして、あす3回目でフルに掲載します。
まるでバラエティ番組の「このあと登場!」「まもなく登場」「いよいよ登場」
みたいな引っ張り方にも見えますが・・・
Q.興味を湧かせる出だしのフレーズを作るコツは何でしょうか?
芸人さんが「つかみはOK」という事を言うように
出だしは大事。興味を惹くというのは 言い換えれば
「普段使わないフレーズを使うこと」。
ただし しっかりと内容を伴ったものにしないと
「奇を衒った原稿にしたな」と見透かされてしまう。
意味もなく 特異なフレーズを使うのは×。
夕方のテレビニュースやラジオニュースで
「今日 秋田市の○○小学校で避難訓練が行われました」
というような文章からスタートせずに
いきなり
「(スピーカー音) ただいま 火災が発生しました。
4年生は体育館に 5、6年生は校庭に避難・・・」
という音でニュースが始まると、画面を見ていなかった人も
「ん? なんだなんだ?」と言って画面を見てくれる
かもしれない。こうした効果を狙って「生音」で始まる
ニュースが増えている。あくまで興味を惹くような音を
使って視聴者の意識をひきつけることを狙っている。
ただし、判で押したように「生音」から入るクセをつけて
しまうとちゃんとした構成が立てられなくなるので
必要に応じて変える事。 生音から入るというテンプレート
にはめ込むようなのは意識を変えたほうがよい。
言い換えれば「こいつ狙ってやがるな」って思われたら
ダメだし、ワンパターンだなと思われても×。
Q.どう原稿をまとめればいい?上手いまとめ方の形式は?
言いたい事を箇条書きにしてみる。
だらだら書かない。 5秒で言えるかどうか?
本当に言いたい事は何か? おそらく1つか2つだけ。
でその1つか2つの言いたい事に 肉付けをするか
もしくは 言いたい事を話すためのお膳立てをする原稿が
必要になる。
言いたい事ありきで、それを膨らませていく
例えば 火事のニュースは
・秋田市の老夫婦の家が火事になった
・誰もケガをしなかった
・風が強い日だった
この場合は3点が肝。これを背骨にして さまざまな
情報を加えていくとニュースが出来上がる。
言いたい事をしっかりさせることが先決。
つづきは 明日!