豚肉高騰
ABS news every.取材記 2014.5.29(木)
豚肉はこれまで比較的価格が安定している食材でした。
でもいま、複数の要因が重なり合って、価格が高止まりしている事が分かりました。
豚肉 豚肉 おいしいな でも最近高いな・・・
秋田市山王の秋田市役所裏にあるとんかつ専門店 かつ吉(かつきち)に取材に訪れました。
もともと「かつ喜」だった店ですが、ご主人が店を閉めるにともなって、以前こちらで働いていたと言う加藤さんが店舗拡大という形で引き継いだそうです。
秋田市役所裏です。電話番号もかつ喜と同じまま
かつ吉では主に県内産の豚肉を使ったトンカツを提供しています。
20年以上飲食業に携わる加藤了(リョウ)店長に、現在の豚肉の仕入れ価格を尋ねると・・・
『もう私がこの業界に入ってから過去最大の値上幅と言うか高値高騰というところです。
県内産は安い時から比べると5割増し。
輸入豚肉に関しては3割から4割増しです』
との嘆きの声・・・
この日の前日はチャレンジデーの取材で、由利本荘市のかつ喜に行ってトンカツを頂きました
豚肉はもともと価格が安定している食品でした。
そして春から夏にかけて需要期を迎えるらしく、夏場価格が上昇します。そんなわけで秋田県食肉流通公社に価格を問い合わせたところ、多少の変動はあるものの、高くても1㎏当たり500円を多少上回る程度でした(2008年にも500円超)。ところが、ことしの4月は539円と、近年ないくらいの高値となっているんです。資料のある1998年からの4月の価格を全て比較しても今年が最も高くなっています。
トンカツはおいしいねえ
しかも去年の猛暑で種付けが不調だったため、子豚が大きくなって出荷に至るまで時間がかかり、春以降の出荷数が減少すると見られていました。
そこにPEDの影響も加わっています。県内でも4月にPEDの発症が確認されてから、6/16現在で6195頭の子豚が死んでいます。
これから大きくなって出荷を迎える子豚が死んでいるため、今後、流通量が減るのではないかという懸念があるためです。
かつ吉では今年4月の消費税増税の時も値上げをしなかったそうですが、卸値の高騰はどんどん利益を圧縮します。
かつ吉山王店 加藤了店長。ごちそうさまでした
加藤店長は
「やはりお客さんあっての商売ですから。
切り詰める所は切り詰めて企業努力だけで今のところは乗り切ってやってます」
と話していました。
豚肉の価格高騰は外食産業だけでなく、もちろん家計にも影響を及ぼしています。
秋田市の通り町商店街にある米久(よねきゅう)食肉店では、秋田と青森の豚肉を販売していますが、どれも店頭での価格が高騰しているとのこと。
飛び込み取材ありがとうございました
店の伊藤滋子(シゲコ)さんは
「1.5倍とまではいかないんけど、だいたい去年に比べてそのぐらい上がっているので苦しいです。
もうちょっと価格を上げさせてもらわないといけないのかなって思います。
ちょっと苦しい所です、はっきり言って」
と、こちらも悲痛な叫びを訴えていました。
伝染病に季節要因、そして消費税 複数の要因が絡み合っての豚肉の価格高騰。
今のところ価格が下がる要因は見当たりません。
豚さん豚さん、いつも蛋白源やビタミンを人間に与えてくれてありがとうございます。この場をかりて御礼申し上げます
この日のカメラマンは藤縄健くん。わずかテープ1本で無駄なく企画が完成しました。ありがとう!