ABS news every.取材記　2013.08.05(月)

藤里町の米田相撲場で大相撲・尾車部屋の夏合宿が8/5(月)から３日間の日程で行われました。
その初日を取材してきました。

藤里町粕毛米田の米田相撲場

尾車部屋と言えば、旧･森吉町出身の我らが豪風関がいます。

金足農業高校相撲部出身、豪風関を歓迎してます

これまで尾車部屋は夏合宿のような稽古をしたことがなかったそうです。今回、大相撲の地方巡業　男鹿場所が開催されたことも手伝ったのでしょう。地域の人たちの呼びかけにより、相撲にゆかりの深い米田での合宿が実現しました。呼出と床山１人ずつと力士14人あわせて16人が藤里を訪れました。

藤里町の米田地区では豊作を祈願する「根城豊作相撲」という伝統行事が盛んで明治時代から行われているとのことです。
「根城（ねじょう）」は、この地域の古い呼び名です。
旧･米田小学校が閉校する年、秋田放送のニュースでは地域の子供達の活動の様子を取材していました。
そこでも取り上げられたのが「根城相撲」だったんです。

根城相撲はさておき、豪風（たけかぜ）関は尾車部屋の部屋頭です。
嘉風（よしかぜ）関と一緒に幕内力士として活躍しています。

嘉風(左)　豪風(右)　尾車部屋は親方の四股名「琴風」にちなんで「風」を付ける力士が多いですね

稽古はいたって地味です。頭からぶつかって倒されて、四つに組んで倒されて、摺り足の稽古をして･･･
地味ですが足腰が鍛えられ、脂肪の下には筋肉がついて恐ろしいほどの鎧を身にまとうことになるんだなと
痛感させられます。

ちなみに慣用句でもある「胸を貸す」は、相撲の稽古からの言葉です。強い人が　ぶちかましに自分の胸を貸して稽古するところから転じたとのこと。
「人の褌で相撲をとる」なんていうのも相撲からの慣用句ですね。

レンタルチェスト

そして、以前、金足農業高校の３年生だったころ高校の相撲場で会見を開いた畠山涼太（ハタケヤマリョウタ）君に久しぶりに会いました。2012年の初場所でデビューしてから２年半。
現在は三段目。四股名は「竜風（たつかぜ）」、井川町出身の19歳（11月で20歳）です。
体を土俵の土で真黒にしながら元気そうにインタビューに答えてくれました。

金農の先輩でもある豪風関の縁もあり、尾車部屋に入門。
いま厳しい稽古を毎日毎日繰り返している最中です。
心なしか、絞られて筋肉がついたような気がします。

竜風　本名：畠山涼太。先輩たちにかわいがってもらってるそうです。そういうかわいがりじゃないですよ(笑)

サインする豪風

メディアに囲まれる豪風関

相撲にゆかりの深いこの地区、閉校となった米田小は取り壊され、エリアには屋根のついた土俵が造られています。
体育館はそのままで残っています。

稽古のあとは食事です。今回は地元のレディースサークル＝婦人会のメンバーが集まって、若手力士監修の元「豚汁風ちゃんこ」をつくりました。
砂糖を掌で３つかみいれて甘くしているとのことでした。

上下関係の厳しい相撲の世界です。相撲も番付が上の人ほど"偉い"んです。ということは、上の人が食べてからでないと食べられません。幕内力士が先！

豚汁風ちゃんこを幕内力士が食らふ

さてさて今回の取材時、豪風関がちゃんこを食べているとき、若い衆が、身だしなみでちょっと気になる装いをしていました。
すかさず、豪風関「おい、ちゃんとしてこなきゃダメだろ」と静かに諭しました。若い衆はすぐ身だしなみを直しに行きました。すると今度は若い衆のちょっと上の先輩をつかまえて「なんで俺があいつらを注意するんだ？お前の役目だろ」とこちらもみんなの手前静かに一喝。

今の世の中、黒いものを白というような、昔堅気の職人というか昔の軍隊のような理不尽な上下関係は好まれません。しかし「上の者が下を指導する」そして「指導するからには自分もしっかりしなきゃいかん」という考えは素晴らしいと思います。
厳しい世界を過ごしてきた豪風関は、上下関係が当り前であるから普通にビシッとした一言を言えたんだろうなと思いました。
日常でもありますよね「こんなの先輩にやらせんな。お前が率先してやれよ」って。でもやらなかった人は後輩にも強く言えない･･･

ごっつぁんです

しっかりした知識もなく先輩風だけ吹かせると、後輩に見抜かれて陰で馬鹿にされます。かといって正しいのにビシッと注意できないとナメられます。
当り前のことかもしれませんが、控え目でありながらビシッとした豪風関の姿を見てしっかりしようと
思いました。また説教臭い？

タオルを巻いた平元くん。すっかり現場の人です

当日は県北支局・平元幸咲（コウサク）記者兼カメラマンが撮影しました。暑い中ごくろーさんでした。