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2014年08月15日

戦争について

ABS news every.取材記 2014.8.6(水)

8/6(水)に第21回県原爆死没者追悼の集いを取材するため、秋田市の秋田ビューホテルを訪れました。

1945年、昭和20年、広島に原爆が投下されてから69年の月日が経ちました。
「原爆の日」には広島市だけでなく全国各地で、そして遠く秋田でも犠牲者を慰霊する式典が営まれ、参加した被爆者が核兵器や戦争のない社会になるよう訴えました。それが「秋田県原爆死没者追悼の集い」です。

広島市で行われた平和記念式典では原爆慰霊碑に1年間に死亡が確認された5500人以上の被爆者の名簿が収められました。
広島市の松井一實(カズミ)市長は
「絶対悪による非人道的な脅しで国を守ることを止め、信頼と対話による新たな安全保障の仕組みづくりに全力で取り組んで下さい」
と、核兵器による威嚇でなく、対話による新たな安全保障の構築を訴えました。

秋田では県原爆被害者団体協議会が主催して、第21回県原爆死没者追悼の集いが開催されました。

犠牲者に黙祷した後、県内の被爆者を代表して秋田市仁井田に住む御年90歳の厨川克美(クリヤカワカツミ)さんが
「被爆者を作ったのは戦争です。私達、被爆者はあの地獄を再び作ってはならないと今日まで呼び続けてきました。戦争につながる一切のことは認めることはできません」
と、「集団的自衛権の行使容認の閣議決定」をはじめ政府の対応を認めない旨の挨拶を述べました。


厨川克美さん(90)の挨拶

厨川さんは秋田市出身で、戦争に駆り出され当時は広島に居ました。
そして21歳のときに広島で被爆したそうです。

県原爆被害者団体協議会では
「戦争のない世界になれるよう、後世にしっかりと原爆の悲惨さを伝えて行きたい」
と話しています。

祖父も祖母も亡くなっているため、リアルな戦争の話を家族から聞く機会もなくなっています。

そして現在マスコミの仕事に携わっているために、報道の大切さというものを痛感しています。

戦争当時は、新聞がいわゆる大本営発表という政府や軍が発表した事をそのまま紙面に書き、世論を煽っていたという話を聞きます。時代が時代だったため仕方なかった面もあったと思います。○○の戦いで日本軍が敗れて撤退せざるを得ない状況になったとしても、当時の国民に知らされるのは「転進、転戦」と言い換えた表現で、劣勢だというのを感じさせないような内容になっていたとか・・・

また映画は国民の意識をある一定の方向に向けるためのプロパガンダに利用されるために製作されることもあるようです。

同時に、反戦のメッセージが込められた作品も多く、製作者の意図を汲み取ることが出来れば幸いだと思います。

先日、久しぶりにマンガの『はだしのゲン』(中沢啓治)を読みました。
作者の被爆体験を元にした漫画なのでリアリティがありすぎて、今の平和な日本では全く想像がつかない世界です。


参加者は全員が献花しました

小学校1年生のときに夏休みの課題図書として数冊挙げられていたうちの1冊が『ひろしまのピカ』(丸木俊)でした。
初めて原子爆弾の怖さを知った絵本です。


秋田県内に30人いるという被爆者。そのうち4人が出席。みなさん高齢です。でも戦争はダメだという思いは全員同じです

多くの人が太平洋戦争で敗戦を大きな反省として
「二度と戦争を起こしてはならない」
というメッセージを込めた作品を世に残しています。

空気や水のようにあたりまえになってしまうと「平和の有り難さ」がわからなくなってしまいます。
秋田では終戦直前の「土崎空襲」によって250人が死亡したと伝えられています。
広島で被爆して現在県内に住んでいる人は、以前は100人以上いたそうですが、現在は30人にまで減っています。
しかも平均年齢は84歳を超えています。
いつかは戦争を体験した人もいなくなってしまいます。
情報があふれている現代だとは言え、面と向かって語りかける言葉の強さに勝るものは無いと思います。

戦争を体験していない世代は伝聞としてしか伝えることしかできませんが、ニュースなどをとおして「世界で起こった戦争、日本で起こった戦争、秋田でも起こった戦争の悲惨さを少しでも子供たちに伝えていきたいと思います。

蛇足ですが、その一環で...

ABSのアナウンサー陣が学校を訪れて朗読する「読み聞かせ隊」を今年度も開催しています。
田村がよく読む絵本は

『かわいそうなぞう』(土家由岐雄)
『チロヌップのきつね 』(たかはしひろゆき)
『一つの花』(今西祐行)
というラインナップです。

いずれも戦争に絡めた内容の本です。

ほかにも小学生向けには

『猫は生きている』(早乙女勝元)
『おこりじぞう』(山口勇子)
という記憶に残る物もあります。

あと、7人の息子を兵隊にとられるたびに桐を庭に植えた『おかあさんの木』(大川悦生)を朗読して、小学生に聞いてもらいたいですね。

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