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2014年07月3日

薬用作物

ABS news every.取材記 2014.7.1(火)

秋田県は 7/1(火)県庁第二庁舎で「薬用作物の研修会」を開催しました。
薬用作物の生産者やJAの職員、行政関係者が、東京生薬協会の会長&副会長の講演を聴きにきました。

東京生薬協会の会長は秋田ともゆかりの深い(株)龍角散の藤井隆太社長
副会長は(株)金井藤吉商店の金井藤雄社長


東京生薬協会・藤井隆太会長 (株)龍角散の社長です

1つずつ解説すると「東京生薬協会」というのは

・優良生薬の確保&振興
・東京都薬用植物園の管理
・薬用植物や生薬・ハーブなどの栽培育成
・漢方薬&薬草に関する情報発信

などを主な業務としている公益社団法人です。
6/2現在で協会の会員数は115名。
製薬会社、生薬卸売会社を中心に、薬局、個人など当協会の目的趣旨に賛同した皆さんでた方々によって構成されています。


東京生薬協会・金井藤雄副会長。暗い中撮影してので画面が粗くなっていますすいません

さらには薬用作物の栽培事業も手がけているため、東京生薬協会の会員企業と自治体との仲立ちなどをしています。

(株)龍角散は ゴホンと言えばで有名な「龍角散」や「のどすっきり飴」「嚥下補助ゼリー」「タイガーバーム」などを製造販売しています。
そして秋田とのつながりは深いんです。
日本家庭薬協会によると、龍角散は約200年前、東北地方有数の武家であった佐竹藩205000石の藩薬として使用されていて、佐竹藩代々の典医であった藤井玄淵によって藩薬として文政年間に創製されたとのこと。
こうしたことが根底にあり、佐竹知事が龍角散の藤井隆太社長から美郷町の松田知己町長を通して依頼され、CMにも出演しているのであります。


研修会の様子。およそ120人ぐらいが参加しました

なお八峰町と東京生薬協会は2012年6月に協定を結び「のどすっきり飴」の原料であるカミツレの栽培が行われています。ほかにもカンゾウ・キキョウ・カミツレ・ウイキョウ・セネガ・ホオノキが栽培されています。


CMもプロジェクターで、動画で紹介

東京生薬協会が代表的な薬用作物の写真を提供してくれました。上段2枚がカンゾウ、下段2枚がキキョウ

美郷町は2013年2月に連携協定を締結し、生薬のカンゾウの試験栽培を始めています。
今ではキキョウも栽培しています。


ちょっと写真が小さいかも。上段2枚がシャクヤク、下段2枚がトウキ

「薬用作物」というのは薬用成分を含んだ植物のことです。
古くから生薬や漢方薬の原料として重宝されてきました。
多くは根や茎が使われるんですね。
体や脳に作用するのは天然だろうが合成だろうが関係なく化学物質です。
漢方薬といっても、とどのつまりは化学物質が含まれているかどうかなんです。
でもやはり工場で作ったよりは土と水と太陽で育った作物のほうが温かみを感じるのが人情と言うもの。


藤井社長の講演

薬用作物は約80%が中国からの輸入に頼っているため、これも国産で賄えればそれに越した事がありません。
やはり品質面からみても日本産はブランドのようで薬用作物も例にもれず 中国産>>日本産となっています。
しかし中国産の価格の高騰や中国国内の需要のアップで安定量の確保も難しくなっているため、メーカーは国内調達を強化しているようです。

だから秋田県内でも薬用作物に関心が高くなっているわけなんです。

龍角散の藤井隆太社長は 研修会で

・生薬の年間使用量は 約20000t
  中国産が16800t 83.5%
  国産が  2500t 約12%
・国内医薬品生産金額 約7兆円のうち
・漢方や生薬製剤の割合は、1400億程度(約2%)
・この5年間は16%の増加

つまりマーケットの拡大が期待される点を出席者に話していました。
さらに「のど飴のテレビCMで「生薬の国内栽培開始」と字幕を出している。
この直後から、のど飴の販売が伸びたので消費者の安心・安全志向が見て取れる」
という旨を講演しました。

減反政策により、中産間地や耕作放棄地を使って薬用作物を栽培できれば、あらたな産地として注目されるかもしれません。

ただ薬用作物はいくつかハードルがあります。

・十分な薬効成分を含むよう栽培するのは難しい
・良質な土地が必要なため 土地改良も必須
・販売先が限られるためリスクが大きい

このほか細かいハードルをクリアしなければならない為、農家単体で「うち薬用作物の栽培を頑張りますよー」と手を挙げる事もできないんです。だから自治体やJAの協力が欠かせなくなってくるんです。

講演でおもしろいことを藤井社長が話していました。
『8時だョ!全員集合』でドリフターズの志村けんさんが透明な箱に頭をつっこんで、消火器で真っ白になるっという体を張ったコントを頻繁にしていました。

消火器の粉末の成分は良く知りませんが、あんなものをぶちまけられて、近距離で吸い込んで体にいいわけがありません。
実はあの粉末が「龍角散」だったですって。
藤井社長は「テレビ局にとてもよく売れたんです」なんて裏話をしてくださっていました。
当然 ABS news every.内ではそんなことを原稿にする時間がありませんので、あえてここで書いてみました。
子供の頃大喜びで見ていた裏にはこんなからくりがあったんですね~


当時の映像もちょこっと放送されました

藤井社長は玄淵からかぞえて8代目にあたるとか・・・

各地で栽培されている薬用作物の豆知識も書いておきます

カンゾウ 甘草 (イントネーションは頭高)
キキョウ 桔梗 (花のキキョウです)
ウイキョウ 茴香(フェンネルのこと)
カミツレ 加密列 (カモミールのこと)
ハッカ  薄荷 (ペパーミントのこと)
ハンゲ  半夏(カラスビシャクのこと)
シャクヤク 芍薬(薬の字が使われるぐらいの植物)
セネガ (漢字わからず サポニンを含む)
トウキ 当帰
ホオノキ 朴の木
ミシマサイコ 三島柴胡

昔の人たちは本当にすごいですね~
さいとうたかをの「サバイバル」でもありましたが、きっと感覚的に薬効を見つけ出して薬として重宝していたんでしょう。亀の甲のベンゼン環なんかわからなくても、自然にある植物を利用して生きてきたんです。きっとその礎がなければ薬学も発展しなかったと思います。

「薬」の部首は「くさかんむり」ですからね~

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