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2018年03月8日

~だそう。←×

刑務所関連のブログが続いていたので、お間違えの無いように。

“脱走”ではありません井関さん風)

最近、各局の情報バラエティ番組で連発されている耳障りな言葉に
「~だそう。」があります。

「そうだ」「そうです」の属性は、伝聞の助動詞です。

「そうだ」「そうです」には2種類あって

「伝聞」と「様態」で使い方が違います。
伝聞の助動詞は切れません。

切れないのに、切れる「そうだ・そうです」と一緒にして ちょっと洒落た感じの文末に仕上げているものですから、ものすごーい違和感を覚えます。

でも「様態」は切っても可というのがやっかいで これが話を複雑にして混乱を招いています。

「伝聞」は 人から聞いたことを伝えるとき。

「様態」というのは 不確定な事柄を話すときに使います。

「韓国の平昌は寒そうだ」→「韓国の平昌は寒そう」
「高校には合格しそうだ」→「高校には合格しそう」
「あいつは今元気そうだ」→「あいつは今元気そう」
「取材疲れで死にそうだ」→「取材疲れで死にそう」

これが様態の「そうだ・そうです」
こっちは「そう」で切っても大丈夫です。
違和感なく聞こえます。

「ようだ・ようです」の助動詞も、
成り立ちは 「様」+「断定の助動詞 だ」で くっついて出来たものらしいので、
「~のよう。」となっても体言止めの類として違和感はありません。

「まさに阿修羅のよう。」
「まさに羅刹のよう。」
「まさに進撃の巨人のよう。」

「平昌は鹿角のようだ」→「平昌は鹿角のよう」
「まるで向日葵のようです」→「まるで向日葵のよう」
「あいつはチャオズのようだ」→「あいつはチャオズのよう」

なんで?って言われても
昔からそんなふうになってるからとしか言いようがありません。

助動詞の終止形をぶったぎるというのは

「あいつは天才らし。」
「恐竜に食べられ。」

みたいな感じになので非常に気持ち悪いんですけれど、
近年は伝聞の「そうだ・そうです」を切って使っているバラエティ番組が多いこと、多いこと。

「ここは2年前まで空き地だったそう。」
「このパンを目当てに北海道からもくるんだそう。」
「小さい頃はおもちゃ屋さんになりたかったそう。」

ああああぁぁぁぁぁ

きしょい いずい きもい

気になって気になって仕方がない。

「~だそう。」が増殖し始めた理由は2つでしょう。

原稿を書く人は 文末が2度、3度同じになる文章を嫌う傾向にあります。
文末というのは下記のようなものですが…

「~にしました。」
「~そうです。」
「~に初挑戦。」
「~感じています。」
「~ということ。」
「~なんでしょうか?」
「~運んでみてください。」

「きのう秋田港に釣りに行きました。
 秋田港ではアジが釣れました。
 アジはフライにして家で食べました。」

と書くとラップ調の小学生の作文になりますが
これを

「私はきのう秋田港に釣りに行きました。
 秋田港ではいまアジが釣れています。
 釣ったアジは、5時間後 フライとなってしまったのです。」

と書くと 文末が一定ではないため、緩急のついた文章になって心地よくなります。

だから、

「じゃあ “そうです”も体言止めっぽく『~だそう。』にすれば、
 文末バリエーションも増えるしOKじゃね?」

となって使われ始めたのが、大きな理由の1つでしょう。

そして、全国ネットのテレビで1回でも使ってしまうと
「ああ、この表現もいいんだ!」
「ライバル局はこんな表現をいしてるのか!」
と目から鱗が落ちたかのような 勘違いを含む衝撃を受けて、ディレクターや放送作家、構成作家が使い始めます。

早速使い始めた。
それが鼠算式に増えるため、ここ3、4年はかなり急速にあちらこちらで聞かれるようになってきたという理由が2つ目。

最初にテレビで放送した人を突き止める術はありませんが、
とにかくテレビは、破壊力とインパクトのあるメディアなので、全国ネット複数チャンネルが使えばそりゃ増殖しますわ(笑)
のちほど、バラエティが元になって急速に流行った言葉もブログで記したいと考えています。

田村は、2011年以降ぐらいでテレビで急増している印象を受けていました。
でもそのずっと前、実はリンボウ先生こと林望(ハヤシノゾム)さん
PHP新書『日本語の磨き方』ですでに苦言を呈していました。
2000年頃に出版した新書です。

「女性誌のグルメガイドとか旅行ガイド、あるいはエッセイなどで、
 ちょいとオシャレに書かれていたのが元になっているのではないか」

とリンボウ先生は書いていた気がします。

ということは、女性誌のエッセイなどで見つけた表現を、放送作家かディレクターが引用し始めて、それがバラエティで使われてきたんでしょう。

確かに「○○だそう。」はそんな雰囲気のする誤った文末表現です。

特に「伝聞」は報道原稿には、あまり適さないため
楽しくてやわらかい文章 それに バラエティ番組で増殖してきたんじゃないですかね。

とにかく人から聞いた、取材して聞いたことを
「○○だそう。」と表現するのは気をつけましょう。
現在は、本当にインフルエンザ級に蔓延しています。

ちなみに情報バラエティでも「○○だそう。」を使う番組は決まっています。
ディレクターが一緒なんですが、気になって内容が頭に入ってきません。

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