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番組審議会リポート|
PROGRAM COUNCIL REPORT

第644回秋田放送番組審議会リポート

第644回番組審議会が11月20日、秋田放送本社で開かれました。
合評番組 秋田放送開局70周年記念特番「廃校から10年 ~まちおこす、拠点~」 ABS テレビ 11月5日(日)16:00~16:55

委員からは
10年の歩みがまとめられており、成果や現状がわかりやすく伝わった。県外から来た若い方が自分事として町で活動するさまを見ていて前向きな気持ちになった。他にも町民が起業したり、第一次産業(農業)までも巻き込んだ取り組みがあったりと、10年の時を経て幅広い活動につながっていた。
明るい未来を予感させるエンディングで、これからの動きが楽しみになる構成が印象的だ。

10年間で人材育成が進み、いろいろな店舗や施設が出来上がっている。
地域活性化のためには、人材と人の交流・地元の人の支援が不可欠。外から来た人の知恵と行動力も重要な要素だ。
町は2度の大雨被害に遭っているが、移住者が自然と共生していくことの大変さを忘れてはいけないと思った。

何もしなければ限界集落になる地域が県内にはあちらこちらにある。そんな中、一条の光が差したような番組だった。
少子化は避けられないが、過疎地域になっても地域で助け合い協力し合えば生きていけるというヒントを貰った。思い返せば昔はみんなそうだった。コミュニティの在り方が昔に戻りつつあるのかもしれない。見ごたえのある番組だった

時間の積み重ねが大きな特徴になっている。映像・人・状況について、10年のスパンがあるからこそ見えてくるつながりがある。前半で紹介されたエピソードが後半で展開され、年月や状況の変化が伝わり、興味深かった。

五城目はこの10年で通過する町から、訪れる目的のある町へと変貌した。
登場人物がみな魅力的。 畑澤與左右衛門さんは五城目町になくてはならない人だ。町の特色や伝統を若い人へ伝えるという大切な役割がある。一方、地元で育った若者がバイタリティ豊かで変化を恐れない移住者の考え方や経験に触れるのはいい刺激になる。
大雨被害の時も、県内外から150名を超えるボランティアが集合し、馬場目ベースが生活再建の拠点になっていた。稲刈りや復旧作業を手伝っていたがこれはまさに10年の積み重ね。人々のつながりによって、迅速に復旧作業が進んだのだろう。

青谷明日香さんのナレーションや「帰っておいで」という挿入歌も番組の雰囲気にぴったりマッチしていて好感が持てた。ドローンなども駆使し、季節ごとに撮影した四季折々の町の風景が美しく映し出され、見事だった。

拠点ができたことにより、具体的にどの程度町が活性化し、効果があったのかを知りたかった。役場の人はどう感じているのか。
移住者について、大人の感想だけでなく親と一緒に移住してきた子供の感想も聞いてみたかった。
番組では成功例を取り上げていたが、失敗例もあるだろう。そのような事例を取り上げあればリアリティも生まれ、番組により奥行きが出たと思われる。

第643回秋田放送番組審議会リポート

第643回番組審議会が10月31日、秋田放送本社で開かれました。
合評番組 テレビ 2023年9月17日(日) 6:30-7:00 放送 「日本のチカラ #356 『つなぐ、ともす ~秋田・竿燈 伝統の技~』」

委員からは
かつて竿燈の運営側に携わる機会があったが、思いのほか大変だった。竿燈会を続けていくこと並大抵のことでなはいと思う。
演技を指導する場面ではバランスをとることのほかに、掌の向きなど、美しい見せ方に拘っていることに感心した。番組のラストで、上米町竿燈会の差し手4人が一列に並んで演技したシーンは圧巻。人が一生懸命に一つの事に何かに打ち込む姿は胸を打たれる。

亡くなってしまった上米町鈴木前会長と現代表の貴志さんの世代を超えた絆が心にしみた。
血のつながりを超えた、伝統や技の継承で結ばれた強い絆。竿燈会に保存されていた戦前・昭和13年当時の竿燈会の写真が珍しく、モノクロだが一見現代と変わらないようにも見える。江戸時代から続く竿燈は縄をなうようにして過去から現在、そして未来へ繋がっているのだと思った。

コミュニティの継続・結束を強くする中心には祭りがある。準備の時に、4歳から75歳までが目的を一つにして食事を共にするシーンを見て、まつりは世代をつなげる役割があると改めて思う。
構成や編集に工夫があって、言葉や文字(テロップ)を使わずに、内容を説明的にならずに伝えていた。竿燈会ごとの隆盛と衰退、世代間の対比。県外出身者と地元出身者など、対比の妙を上手に用いていた。映像・ナレーション・インタビューが三位一体となり番組が構成されていた。

竿燈を上げる人・上げたい人が減っていると番組のインタビューにあったが、こういう時代に祭りを維持していくのは容易ではないだろう。これまでの年ごとの出竿数の推移や、出場する町内の数の変遷など、データで示しても良かったかもしれない。
10代・20代と70代の交流が描かれていたが中間の世代が抜けていたのが気になった。
カメラが演技者に近づきすぎて、竿灯全体の演技十分に見せるという点がやや物足りなかった。全国ネット番組なので少し勿体ないと感じた。

竿燈に限らず、県内の他の祭りもすべからく後継者不足である。高校生3人だけがメンバーの西馬口労町。大人の差し手はどこへ行ったのか。一方で取り上げた上米町竿燈会は新規加入が30人もいる。その中のドイツ人・エミリさんのもう少し詳しいプロフィールを知りたかった。
限られた尺の中で、何を削り何を残すのか。制作者として悩むところではある。番組の完成度を上げるためには視聴者の疑問に答えるような説明も必要だろう。

番組の主題テーマは後継者不足なのか、技の継承なのか、焦点がややぼやけた感がある。取材の端緒は後継者不足だったようだが、取材を重ねるうちに興味・関心が変質したのか。その過程での整理・構成の組み方、どこにウエイトを置くのかがアンバランスとなり、やや消化しきれないまま番組が制作された印象を持った。

第642回秋田放送番組審議会リポート

第642回番組審議会が9月28日、秋田放送本社で開かれました。
合評番組 24時間テレビチャリティーひろば (8月27日 11:24-12:24 放送)

委員からは
リハビリは辛いもの・苦しいものというイメージがあったが、eスポーツなら年齢や世代を超えて楽しみながら挑戦できるので、とても良い。そのeスポーツを介護の現場で進めながら、一方で自身の体験を活かしてヤングケアラー支援に取り組む若狭さんの活躍を応援したい。

ヤングケアラーは県内にも一定数いる。若狭さん自身も小学低学年のころから、障がいを持つ弟の世話を日常的にすることに疑問を持たなかったという。本人の自覚がないためヤングケアラーの問題は表面化しにくい。成長期に日常的に介護を担っていることが、無意識下で本人にどのような影響を及ぼしているのだろうか。隠れた状態になっているヤングケアラーの問題についてもっと取り上げる必要性を感じた。

番組では子供から大人まで5人の人物が登場したが、それぞれが「誰かのために頑張る」ことが主軸となり、ストーリー仕立てがよくできていた。
パート2はスーパー小中学生に焦点をあて、他のパートとは毛色が違う内容で、重い話題の合間の息抜きとして見られた。田村誉主在アナウンサーが相撲や暗算・自転車などにチャレンジしていたが、彼が相手の実力を際立たせる存在となり、子供たちの凄さが実感された。

知らなかった情報も多く、有益な番組だった。SNS全盛の今、情報は自分で取りに行くのが当たり前になっているが、放送を見ることで自分の範疇にない情報に触れ、新たな知識や感動を得ることができた。そういう意味でテレビの力を改めて感じた。全編を見終わった後に優しい気持ちになれた。

大川ちさとさんに関しては2018年当時からの映像があり、時間をかけて密に取材してきているのだなと思った。出産するシーンなどは信頼関係がなければ撮影することはできないものだ。産まれてくるわが子がどんな状態だろうと産むことに躊躇ないという大川さんの母親の言葉が印象に残る。命、出産、障がいなど、人間がそのコントロールにどこまで関わっていいのか、難しく、重い問題だ。

社会の支援、親子の問題、様々な側面を内包している番組。見る人の立場によってそれぞれが自分は何ができるのか、自分ならどうするかと考えさせられる内容だった。24時間テレビの放送を見ることは、年に1度でも障碍者に関して思いを馳せ、自分の立場で何ができるのか考える貴重な機会だと感じた。

合評の後、「秋田放送 放送基準」の変更案について、小畑編成局長より説明がありました。今年5月に日本民間放送連盟の「放送基準」が改正され、2024年4月1日に施行されます。日本民間放送連盟の「放送基準」を準用している「秋田放送放送基準」変更案について妥当かどうかを番組審議会に諮問し、各委員から「変更は妥当である」との答申をいただき、改正が決まりました。秋田放送では来年4月1日の施行に向けて準備を進めます。

第641回秋田放送番組審議会リポート

第641回番組審議会が7月27日、秋田放送本社で開かれました。合評番組はABS秋田放送開局70周年記念番組「えび☆ステ GOLD」(7月7日(金) 19:00-19:56 放送)

委員からは
オープニングのガベジのパフォーマンスを興味深く見た。メンバーの一人は北秋田市出身だそうだが、音を効果的に使用していて不思議な印象だった。東京五輪で世に知られたユニットだったが、初めてじっくり見ることができた。

矢吹奈子さんは22歳という年齢のわりに落ち着いていて好感が持てた。親しみやすいキャラクターで、ババヘラアイスの実演や、ドンパン節の踊りなども即興でマスターして上手に踊っていた。多彩なタレント性に可能性を感じた。

番組冒頭から10分弱、ニュースエブリーのキャスターとの掛け合い、ガベジの登場、アプリの紹介とつながっていた。次に何が始まるのか全く予測できない展開で、言わんとすることが不明なため、視聴者はチャンネルを変えてしまうのではないかと懸念した。

横手城南高校のピアノ演奏会でハラミちゃんが登場した瞬間の生徒たちの熱狂に驚いた。
自分はハラミちゃんというユーチューバーを良く知らなかったが、若い世代には広く認知されているようだ。昔の人気者というのは、ある程度世代を超えて共有されていた。世代間の分断、よく言えば嗜好の多様化を強く感じたシーンであった。

VTR部分が3パートに分かれており、最初が矢吹さん、次にハラミちゃんの演奏会、最後にまた矢吹さんという流れだったが、矢吹さんとハラミちゃんのVTRはそれぞれ独立していたため、構成に繋がりが感じられなかった。

男鹿の観光地めぐりは、すでに何度も紹介されておる場所で、秋田在住の視聴者には響かない。もう少し別の場所はなかったのか。
一方でババヘラアイスの薔薇盛りが上手なお母さんは受け答えも軽妙で、面白かった。そういう部分の掘り起こし方はうまいと思った。

男鹿の石焼料理や秋田舞妓に関して、「伝統」という言葉を使って紹介していたが、厳密にいえば両者ともに観光資源として登場したものだ。伝統という枕詞は慎重に使用してほしい。

番組の冠に秋田放送70周年番組と謳われているが、開局70周年と番組の内容にあまり相関関係はなかった。開局70周年を想起させる内容であればもう少し座りよく見ることができたと思う。

VTRを見ているときにワイプが多用されているが、どういう効果を狙っているのか。
ワイプの中で喋っているようなときも見られる。絵面的にノイズと感じることもあり、画面に集中できない面もある。
→担当ディレクターから、「生放送であることを強調するため」という回答があった。

と言った意見がありました。

第640回秋田放送番組審議会リポート

第640回番組審議会が6月12日(月) に秋田放送本社で開かれた。合評番組は
「ABS news every. 防災、あしたへ-日本海中部地震40年-」(5月26日(金) 19:00-19:56 放送)

委員からは
・県内の混乱した映像や体験者の証言から、あの地震による被害の大きさや恐ろしさを改めて見せつけられた。40年前のことで自分の中でも記憶が薄れており、とても大きな災害だったという認識を新たにした。
・津波の被害、液状化現象のメカニズム、今後起こりうる地震の想定、防災対策と4パートに分かれていて、それぞれについて考えさせられる内容だった。津波の恐ろしさについては、実際の証言と絡めて「てんでんこ」の大切さをうまく伝えていた。
・自分は当時県外に居住しており40年前の地震を体験していない。津波の被害、大潟村の道路の亀裂映像、地割れなどの映像を見て被害の大きさに驚いたし、地震や津波で亡くなった人が104人もいたとは知らなかった。番組の映像は貴重な資料だ。
・大潟村干拓博物館船木館長のインタビューが印象に残っている。当時は北磯中の教諭で、高台に生徒を引率して避難した時に「初めて津波を見た生徒の声が、喚声から悲鳴に変わっていった。」という証言がリアルで、胸に刺さった。
・地震後に船木先生は自身が撮影した津波のVTRを授業の度に見せていたそうだがそのビデオを見ていたかつての教え子が東日本大震災の時電柱に上り津波から難を逃れたという。後世への警鐘として自然の恐ろしさを伝えたいという一人の起こした行動が一人を救った。映像の力、伝えていく力の大切さを思った。
・液状化について、秋田大学水田教授の実験映像でよく理解できた。
また、土地の履歴・過去の災害を知ることは、未来への予言にもなると語る教授の言葉は「防災、あしたへ、」という番組のテーマにつながる。
・防災士・齊藤さんの「避難所生活できるのも生きていればこそ。まずは逃げる。」という言葉が耳に残る。「日本海中部地震での津波の怖さや教訓を、もっと積極的に発信していれば東日本大震災の犠牲者は減らせたかもしれない。」と語っていたが、防災に前向きに取り組んでいる姿勢を評価したい。
・避難所生活体験のコーナーでは、プライバシーを保つための工夫がレベルアップしていることがわかった。
・避難所生活に関するアナウンサーの〇×形式のクイズは、面白おかしく伝えられていたが、このような演出にする必要があったのか。やや違和感を持った。
・4名のアナウンサーが避難所にギターやぬいぐるみなど私物を持ち込む場面に若干唐突な印象を受けた。しかしアナウンサーの知られざるキャラクターの一面が出ていて、心に残るシーンではあった。
・県による地震想定は大変細かく想定されていて参考になった。しかしその紹介のみで、実際に大地震が起きたらどうするべきかという態勢づくりへの視点が欠けている。生き延びるための術という情報がほしい。
・秋田県は高齢化・過疎化が著しく、無視できない事実だ。その人たちへの災害時の対応についての情報がなかったのは残念だ。
・地震や防災について知りたいことがわかりやすく紹介されていて勉強になった。夜7時の生放送だったが、家族で食事しながら、地震について話し合いをしながら見るべき番組にふさわしい。
・人間は忘れやすい生き物。週に1回防災について様々な切り口から将来に向けての備えを考える番組をやってもいいのかなと。災害に遭った時の心構え、怖さを忘れないために。
といった意見が上がりました。

第639回秋田放送番組審議会リポート

第639回番組審議会が5月25日(木) に秋田放送本社で開かれました。合評番組は
テレビ 2023年2月18日(土) 15:00-15:15 放送
「由利本荘市の“映えスポット”発掘!~相場詩織&バリトン伊藤のおとな旅~」
2月19日(日) 17:00-17:15 放送
「由利本荘市の“映える美味”発掘!~相場詩織&バリトン伊藤のおとな旅~」でした。

委員からは
・ハッシュタグが使われた字幕スーパーが随所に見られ、SNS全盛時代を意識した作り方だ。
・バリトンさんのナレーションは味があって大変良い。映像が美しく、特に空撮の景色が由利本荘の魅力を伝え、印象的だった。
・“映える美味”発掘編では、初めて知る情報が多かった。バラエティに富んだ品ぞろえの燻製屋や、西目の矮化りんご栽培など、県内にはお金をかけずに楽しめる場所が多いと再認識し、家族や友人と訪れたいと思った。
・法体の滝のスケール感が今一つ伝わりにくかった。滝を人物と絡めて撮影するなど工夫が必要だったのでは。また、ベストシーズン(紅葉)の撮影時期とずれたかなと感じた。
・キャラクター色が強いタレントが出演しているので、昨年好評だった番組「ボナペティ」のようにストーリー性を出す演出の工夫があればよかった。
・情報の羅列に終始しいて深みを感じられず、中途半端な番組という印象。
シニア世代としてはもっと深みがあり、じっくり楽しめる内容の番組を見たいと思うが、タイパ(タイムパフォーマンス)がデフォルトの若い世代にとっては違和感なく見られるのかもしれない。
・昨年、ニューヨークタイムズの2023年に行くべき魅力ある都市に盛岡市が選出されたのは記憶に新しい。盛岡への推薦文で選出されたそうだが、しっかりした視点で街を捉え、発信すると世界にも注目されるということだ。そういう観点から見ると、番組は短い尺の中に情報を詰め込み過ぎており、内容も場所や話題の紹介に終始していた。前段に、町の歴史を盛り込んだりしたら、また違う出来栄えになったかもしれない。バリトンさんの良さも活かされていなかったのは残念だ。
※途中、番審事務局長から、市からの依頼で制作されたプロモーションビデオであり、地上波で番組として放送されることは珍しいケースである旨の補足説明があった。担当ディレクターからももともとはSNSや、市の施設のパブリックビューイングで観光客に見てもらうことを主眼に置いて制作されたPRビデオであることが付け加えられた。

それに関して委員からは
・市町村のPRビデオで、道の駅やユーチューブで流すことがメインであれば、地上波放送用に作られていなということ。短い尺で情報の羅列に終始した作り方が腑に落ちた。
・PRが主であれば、深い分析・や察、作り手の意図が色濃く反映されるものではない。
プロモーションビデオという、番組とは土俵が違う作品を地上波放送することへの違和感はある。
・尺や扱う内容に制約があるなかで、ストーリー性を出そうとする気配・努力は見受けられた。角度を変えて探せば気づかなかったようは光景やお店があるものだ。
この番組を見て、とりあえず由利本荘市へ観光してみようかという人の動きはできる。そうすれば放送局・自治体・視聴者三方よしの可能性がある企画とも言える。
と言った意見が上がりました。

第638回秋田放送番組審議会リポート

第638回番組審議会が4月25日(火) に秋田放送本社で開かれました。
合評番組は 今年元旦(13:00-15:00)放送のラジオ番組「開局70周年キックオフ特番 秋田ミライの戦略会議 ~クリエーターたちの“わ!”」でした。

委員からは
・ミュージシャン、イラストレーター、ユーチューバーとして県内で創作活動しているゲストが、それぞれ違う立ち位置からの発言をしていた。全体としてバランスの取れた話を聴くことができた。
・それぞれが臆することなく自分の意見を述べ、MCとの掛け合いもスムーズ。今の若い人は発信することに慣れているものだと感心した。
・一昔前までクリエイティブな分野で働きたい人は東京に行くのが当たり前だった。SNSの発達によって、秋田でも発信できる時代になったのだと感慨深い。
・親世代の自分には考えるところがあった。子どもは何か新しいことをするとき必ず親のハードルがある。やりたいことが仕事(お金)になるのかと問われるが、それだけでいいのか。若者が情熱を持てる分野で、やりたいこと、楽しめることを続けていくことは大切だと思った。
・自分の周りを見ていると、固定概念に振り回されて一歩を踏み出せず、周りの目を気にしている人は多い。番組を聴いて一歩踏み出す勇気をもらった人もいたのでは。
・2時間の長尺番組なので、音声だけで伝える難しさがあった。ゲストは全員初めて知った人だったので、SNSで調べながら視聴した。顔も知らず声も区別がつかないため、誰がどういう発言をしているのか聞き分けるのが容易ではなかった。
・タイトル「開局70周年秋田ミライノ戦略会議」から想像するに、秋田全般の未来のことを考える番組と思っていたが、実際は出演したクリエーターの活動が多くを占めていた。「秋田の未来を考える」というタイトルにするなら、街づくりや地域づくり、人材育成の視点があってもよかったのでは。
・取り上げたテーマは6つ。生放送ではなく収録だそうだが、それならば編集して再構成し、論点を整理すればより内容が伝わりやすかったのでは。そうすればテーマごとに深堀することも出来た。
・今回は第1回目のクリエーター編とし、2回目以降は別の分野で様々な取り組みをする人を取材し、「秋田未来の戦略会議」としてシリーズ化したらいいのでは。ラジオなら比較的手間がかからず番組化できそうだが。
・今は多媒体の時代。コンテンツを制作し放送して終わり、ではなく、2次展開があってもいい。編集した内容を活字に起こし、ホームページやSNS上にアップする、など方法はいろいろある。
・今の世の中、ラジオを普段聴く習慣がある人はそれほど多くないので、番組の周知方法を工夫したらどうか。テレビとの連携、SNSの活用など、より多くのリスナーを増やす努力をしてほしい。
・一部敬語などに不適切な使用があって番組内での訂正もない。ゲストは仕方ない部分もあるが、アナウンサーは正しい日本語で放送してほしい。
と言った意見が上がりました。

第637回秋田放送番組審議会リポート

第637回番組審議会が3月28日(火) に秋田放送本社で開かれました。
合評番組は昨年10月7日放送の「えび☆ステ」(毎週金曜15:50~16:50生放送)。
各委員からは以下のような意見が出されました。

・1時間の中に中継、旅行や健康、経済情報など多くのコーナーがある。バラエティ色が強いが、丁寧に地域の情報も入っている。
・網羅的でありながら内容は表面的ではない。制作スタッフのチームワークが良さを感じる。取材、編集が厳選されている印象だ。
・物産会場からの中継では、テレビならではの臨場感があった。行ってみようと思う人もいるだろう。週末のお出かけの参考になる。
・八峰町紹介コーナーでは、酒井アナの自然体な様子も手伝い、地元の人の素の状態を見られた。取材される側の人間性や個性が滲み出ており、それが番組を支えている。
・八峰町の鮮魚直売店のご主人など、どのようにしてああいう個性的な人を見つけてくるのだろうと感心した。店ののぼりの誤字脱字は気になった。
・番組内で司会者やリポーター、出演者らが試食するコーナーがあったが、食リポは難しいと改めて感じた。食べ物が口の中に入ったまま進行していたり、咀嚼音が聞こえる場面も散見された。視聴者が不快にならないよう工夫が必要だ。
・SNSと違い、放送は自分がさほど興味を持っていない情報もどんどん入ってくる。脳が休まったような気がした。
・高校生によるダンスワンプロジェクトは初めて知った。元気なパフォーマンスが楽しめた。また鴨下アナウンサーのダンスも上手で、とてもよかった。
・料理コーナーのマイケルさんは自分の国の料理を紹介して奮闘しているが、初めて見知る料理なので、実際のポーランド料理の写真を見せるなど工夫があっても良かった。『男のお手軽料理』というテロップが、限定的な表現で目についた。
・コメンテーターの元仙北市長・門脇さんは余人をもって代えがたいキャラクターだ。最後のコーナー「今週のひとこと」で格言を紹介していたが、「上に伸びられないときは根が育つ」が心に響いた。番組のターゲットは時間帯を考慮すると主婦層なのだろうが、若い人たちにも聞かせたい言葉であり、ぜひ見てほしいと思った。
・門脇さんが司会者より目立っているところもあるが、制作者としてはどう思うか。起用の仕方が難しい部分もあるのではないか。
・コーナーを細かく分けず、ひとつひとつをじっくり紹介するような構成にしてもいいのではないか。

他に、
・番組に関する打ち合わせや仕込みについて、VTRの撮影手法、番組編成、視聴率などについて多くの質問が委員から寄せられました。
また、出演者が司会者より目立っているという質問に対して、担当ディレクターは「むしろ司会者より出演者を引き立たせたい。その方が制作の狙いに合っている。」と回答しました。

最後に、編成局長より2023年の秋田放送 放送基準、ラジオ・テレビの4月改編についての説明があり、閉会となりました。

第636回秋田放送番組審議会リポート

第636回番組審議会が2月27日(月)に秋田放送本社で開かれました。

合評番組は「笑~秋田内陸100キロチャレンジマラソン~」(ABSテレビ11月3日15:50-16:50)放送でした。

委員からは、
「メインで取材されていた秋田市と大仙の2人の男性ランナー。彼らの言葉が、あたかも人生訓のごとく響いた。これは筋書きのないノンフィクションドラマだ。制作者の綿密な取材、取材対象者と築いた信頼関係で、どのような結末になっても物語を完成できる力量を感じた。」
「秋田市から参加した飲食店経営の男性が、『この3年間、走っていたからこそ自分自身を保つことができた』という言葉が重い。飲食に関わっていた人々のコロナ禍での苦悩が伝わってきた。」
「秋田市の男性が所属するマラソンサークルには、年齢も職位業も違う幅広い仲間がいる。コロナ禍で制限された日常を送る中で、趣味であるスポーツや、苦境に陥ったときに支えてくれる仲間との絆はかけがえのないものだと感じた。」
「大仙市の男性が、生後6か月で亡くされた娘さんのキーホルダーを身に着けて走る姿に胸を打たれた。100キロ13時間を走り切る時間は、亡き娘さんとの対話の時間であり、過去の自分を振り返り、今の自分と向き合うような哲学的な時間でもあるのではないか。」
「娘さんの死については番組内で最初には触れられず、途中での種明かしだった。そこが演出の妙味であり構成の良さが光った。娘や息子のために走る100キロ、仲間のために走る100キロ、どちらも見ごたえがあった。」
「例年にも増して人生や人間にフォーカスしていた。苦しさに挑戦する意味。人間は楽をしたい生き物ではないく、目標や挑戦こそが喜びの源泉だという感覚を100キロマラソンで呼び覚ましている。ゴールの目的は完走することやタイムを競うことだけではない。亡き娘との対話。沿道でのゴミ拾い、チームメイトとの絆など、それぞれの生き方にフィットした参加の仕方があり、答えはその数だけある。新しい提言と視点に満ちた番組だった。」
「大会事務局にスポットを当てた作りは良かった。30年続けた歴史がこのマラソン大会の質の良さを物語る。過去30年間にわたり参加ランナーからの提案を一つ一つ誠実に積み重ね、要望を真摯に実現させている運営事務局の姿勢は立派なものだ。」
「大会ボランティアの方々、沿道で応援する地域の方々の手作り感がランナーたちを励ましている。人々のつながり、温かさを感じることができ、秋田の持つ良い部分が浮き彫りにしたヒューマンドキュメンタリーだった。」
「コース途中の農村の景色も美しかった。ゴールしたランナーの笑顔で、自分も走った気になった。大会の魅力が十分に伝えられていた。」
「大会ではプロギング(マラソンをしながらゴミを拾う)を取り入れていた。創意工夫、新しいことを取り上げる事務局の姿勢も良かった。」

一方で
「番組タイトルの『エム』が何を意味しているのか最初わかりにくかった。番組開始から30分過ぎに大会のテーマが『エム』だとわかってなるほどと思った。冒頭で説明があればよかった。」
「複数のランナーが走っている中で、時間軸がわかりにくいところがあった。」
「参加者の年齢分布やや男女比などがわかるデータもあればよかった」
という意見もありました。

第635回秋田放送番組審議会リポート

第635回番組審議会が12月7日(水) にホテルメトロポリタン秋田で開かれ、1年間の番組審議会を振り返っての総評が行われました。

委員からは、
「講評に上がる番組のジャンルが幅広く、いろいろな面から秋田を捉えていると感じた。時代の最先端の技術導入を紹介するもの、心が動かされるスポーツものがあり、タレントの知られざる魅力が発見できる番組も。『ぼなぺてぃ。』は斬新なつくりの番組だった。日々の地道な取材の積み重ねも感じとれた」
「シニアにも優しい番組づくりであった」
「キャスティングが良かった」
「地元の地域が取り上げられると嬉しい」
「アナウンサーの言葉遣いがいつも正しいので好感をもっている」
「ストレートニュースとは違う、親しみやすさとエンタテインメントの要素がテレビならでは。工夫を感じられた」
「審議委員になって長いが、その間ずっと年10本自社制作番組を作り続けているというのはすごい」
「番組制作者の世代交代を感じた。少し上の世代だと、自分の交友関係から興味深い人物等を見つけて掘り下げていくやり方かと思うが、若い世代はインターネット上での発見が先にあり、その後に色々なつながりを見出していくスタイルなのかなと感じられた。もっと下の世代はSNSなどでまた変わっていくのだろうと思うと、楽しみだ」
「制作のレベルが上がってきているように感じる。楽しく見てもらえる、より拡散してもらえるようにポイントを作っているような印象」
「TVerで視聴できる番組があってよかった。いち視聴者としても便利でありがたいし、他の県の方にも見てもらえる。これから増えていく事を期待している」

また、
「他のメディアにひっかかれるような、見てもらえるような広報の仕掛けが必要と感じる。全国にいる秋田の関係人口に情報がしっかり届くようになるとよい」
「秋田を応援するアカウントに拡散を手伝ってもらう、という広報もよいかも」
「視聴者からストーリーの展開のアンケートを募集するのも面白いかもしれない」
「視聴者自身に番組に関わっているという当事者意識が生まれたときに、どういった効果が出るのか興味深い」
といった意見がありました。

第634回秋田放送番組審議会リポート

第634回番組審議会が11月22日(火)秋田放送で行われました。
合評番組は「ABS news every.+ #30 文化、歴史、紡ぐ。秋田市文化会館の終幕」(10月16日日曜 16:30-16:50 放送)でした。

委員からは、
「限られた時間の中で年齢も立場の違う様々な会館利用者にスポットを当て、文化会館の存在が浮き彫りにされていた。単なる建物だと思っていたが、利用する人々の多様な思いが背景にあり、擬人化して観てしまった。」
「42年前の開館時の映像など、秋田放送ならではの貴重な映像が使用されていて感慨深かった。また、時間をかけて取材者に向き合い、丁寧なエピソードが掘り起こされていた。」
「こけら落としの舞台に出演していた筝曲連盟の女性3人の、『私たち頑張ってきたよね、これからも頑張ろう』というセリフから、時間の積み重ねと歴史の継承を感じた。」
「文化会館での最後のコンサートに出演した山王中学校のステージからは、満員の観客の前で演奏する晴れがましさや開演前の緊張・高揚感、がよく伝わってきた。」
「山王中吹奏楽部部長の、しっかりした受け答えが立派だった。コロナ禍を経て初めて目にする満員の観客、万雷の拍手。やり切った彼らの表情から、この経験は一生の宝物だろうと思った。緞帳が下りる最後の瞬間までカメラが追っていて、映像表現が見事になされていた。」
「文化会館は公演だけではなく、会議や研修でも借りたことがあり、様々な思い出を持つ市民も多いだろう。また、ブライダルフェアや新入学フェアなど、各時代を反映した催し物の映像から、改めて時の流れを感じた。」
「田村アナウンサーによる舞台裏の紹介映像は、会館の中を自分が歩いているようだった。いろいろな角度から文化会館を見せてくれた。」
「文化会館42年間の歴史には人生があった。歌、踊り、演奏、映画、いわゆる文化というものを42年間演出し続けてきた場の象徴である。これは単にひとつの建物が亡くなるということを大きく超えた事柄だ。同時に今後考えなければいけない問題点が内包されている。」

一方で、
「閉館までの日数を示す文字スーパーの時系列が前後逆になっていたことが気になった。」
「文化会館所蔵の映写機が写っていたが、知人に映写機を欲しがっている人がいる。舞台で使用するものはそれ自体が貴重品。閉館で使い道がないとすれば、ほしい人に譲るというマッチング的な紹介があっても面白かった。」
「単純に建設から42年経ったから壊してしまってよかったのか?早いし、勿体ない。そこを検証してほしかった。報道番組ならではの、事実をより深堀りし、一石を投じる切り口が望まれた。」
「山王中の吹奏楽部は毎年夏の合宿を文化会館で行っているそうだが、同じように文化会館を拠点に活動していたグループや団体はたくさんあるだろう。そのグループはこれからどこへ行くのか?ぜひ追跡する取材を継続してほしい。」
「行政は使っている人の思いをどう受け止めているのか。ミルハスによってすべて賄えるのか。文化会館の消滅でどのような影響があるのか。利用者の利便性をきちんと考えたているのか。
そこの責任をどう果たしていくのか。知りたいことがたくさんある。」
「利用者に対する視点を行政は持っていたのか。それは人々の思いや人生、文化に対する行政の姿勢が問われる点でもある。そこを追及してほしい。」
「時間をかけた取材と細やかな配慮で押しつけがましくない映像表現がなされていた。報道番組という観点からは閉館への問題点のアプローチがもっとあればよかった。」
という意見がありました。

なお、先月の番組審議会で委員に諮問していた「秋田放送放送基準」の改正について、各委員から「変更は妥当である」との答申をいただき、改正が決まりました。2023年4月1日の施行に向けて準備を進めます。

第633回秋田放送番組審議会リポート

第633回番組審議会が10月24日(月) 秋田放送で行われました。
合評番組は 「ぼなぺてぃ。~召し上がれ 秋田のお菓子たち~」#1(ABS-TV.9.25放送)#2(10.2放送) #3(10.9放送) 秋田の銘菓を、ドラマ仕立てで紹介するミニ番組です。

委員からは、
「ドラマパートと現実の映像やインタビューによるリアルパートとの2本立ての構成で、秋田のお菓子の魅力が過不足なく伝えられていた。」
「ドラマ仕立てでお菓子を紹介する番組を初めて見た。目の付け所が素晴らしい。見慣れているお菓子が、改めて食べたくなった。」
「着眼点、構成力、脚本が良い。お菓子をカタログ的に紹介しなかったところが斬新でオリジナリティがある。1作ごとにテイストが違い、飽きずに観られた。」
「おなじみのお菓子誕生の背景を紹介していたが、初めて知るエピソードばかりで、興味深かった。」
「3人の出演者がそれぞれの持ち味を発揮していた。ヒロイン演じた葵うたのさんは、すでに顔と名前を知っているタレントではなかったせいか、とても新鮮に感じられた。お菓子を食べている姿もおいしそうでよい。」
「バリトン伊藤さんが演じる社長の温厚でひょうひょうとしたキャラクターがご本人の持つ雰囲気とマッチしていた。秋田訛りがドラマに何とも言えない味を出している。田村誉主在アナウンサーも、ちょっとお調子者で明るい若手社員を自然に演じていた。」
「番組内には地元秋田ならではの小道具が散りばめられていて、リアリティと親近感を感じた。ディティールに拘った作りを楽しむことができた。」
「このお菓子をおみやげとして渡したときに、うんちくが語れるところがとてもいいと思った。また、ドラマ仕立てにしたことで、商品に物語性が付与され、おいしさも倍増するだろう。番組の狙いとぴったり合っていると思った。」

一方で
「初めて見たときは番組がドラマなのかドキュメンタリーなのか判別がつかず戸惑った。視聴するうちにドラマパートがフィクション、お菓子パートが情報提供だということがわかった。」
「ドラマの部分で、ポップかつユニークな字幕スーパーを多用している演出が、フィクションとしてのドラマの部分が引き立ったと思う半面、うるさく感じた人もいるかもしれない。どのような効果を狙っての演出なのか。」
「主人公の設定。東京出身の新卒の女性が、縁もゆかりもない秋田県の比較的小規模な企業に就職するものなのか。それとも今はそれほど不自然なことではないのか。引っ掛かりを感じた。」
「虚実の問題。お菓子に関する情報はすべて事実。それをドラマ仕立てのフィクションの中に埋め込んだ結果、双方にとって相乗効果になるか、ならないかというのは、3話視聴しただけでは判断がつかなかった。フィクションの持つ広がりや自由さ・面白さと、事実を伝えるお菓子の部分が錯綜していた印象もあった。しかし、細かいディティールの設定など、総合的には完成度が高い番組になっていた。」
という意見がありました。

なお、昨年5月に日本民間放送連盟の「放送基準」が改正され、2023年4月1日に施行されることに伴い、それを使用している「秋田放送放送基準」の変更案について、編成局長が説明し、変更が妥当かを委員に諮問しました。各委員には、今回の変更内容を一旦持ち帰ってご検討いただき、結果を次回の番組審議会に答申していただくことにしました。