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番組審議会リポート|
PROGRAM COUNCIL REPORT

第650回秋田放送番組審議会リポート

第650回番組審議会が6月20日に秋田放送で開かれました。合評番組は開局70周年記念ラジオ番組「花子の、はなみち。」でした。

委員からは
小野花子さん自身の言葉から民謡に対する熱意や、ずっと第一線で活躍されてきた誇りなどが感じられた。また、長いキャリアの中でのその時々の音源もつかわれていて、第一回日本民謡大賞の実際の音源を聞けたことには感動した。

秋田に住む者として民謡歌手・小野花子さんの存在は知っていたのだが、いつも元気なおばちゃん、というイメージの方にもそこに行きつくまでに様々な葛藤があり、それでもあきらめずに歌い続けてきたことが番組を通じてわかった。夢、目標を持つことの大事さを教えられた。

効果音の使い方がうまかった。ザーっという雨の音の後に鳥がさえずると、苦しい時が終わって平穏な日々が訪れた、と感じられたり、神社の祭典でのセミの声から、暑い中、振袖で歌っているという花子さんの大変さなどを想像することができた。

酒井アナウンサーのナレーションがとても聞きやすかった。語り口が素晴らしく、見たこともない川反近くの有楽会館の情景が見えてくるようだった。ただ、その場面で流れていた効果音に、昭和35年代には普及していなかった歩行者の横断を助ける聴覚信号が入っていることに気がついて、違和感があった。

民謡そのものの聞かせ方がうまかった。ここぞというところでは全曲を通しで聞かせるなど、音楽番組といってもいい内容で、民謡になじみのない人にも魅力を伝えられたのではないか。また、エンディングの「サキホコレ音頭」を歌う70代後半の声と、第1回日本民謡大賞を受賞した「秋田船方節」を歌う32歳の時の若々しい声を聴き比べることで、民謡歌手小野花子の人生の歴史を感じることができた。

歌手として活躍する中で、周囲の人からいじめられたり誹謗中傷されるなどのつらいことがあったあと、時代が一気に飛んで名人位になる、その間の葛藤や努力が描かれていないことに唐突感を覚えた。人が信じられないという気持ちから、後進を育てていこうという温かい心になったのはなぜか、何かきっかけがあったのか、そこが知りたい、と感じた。

コンクールで優勝した高校生の初々しい歌と、小野さんの歌を聴き比べると、次元が違うものであることが良く分かった。声や節回しに人生そのものと向き合ってきた厳しさが表れているような気がした。これはもしかしたらラジオならではなのではないか。純粋に声と向き合うことで、内側からにじみ出てくるような輝きを感じることができる番組だった。
といった意見が上がりました。

第649回秋田放送番組審議会リポート

第649回番組審議会が5月23日に秋田放送で開かれました。合評番組は開局70周年記念番組「テレビ×アプリ×謎解き『わ!の秘密を守れ』」でした。

委員からは
県内のトピックを題材にしたクイズが出され、幅広い世代が楽しく見られる番組だと感じた。 県内の地域バランスも良く考えられていて、細かな地域情報もさりげなく盛り込まれており、うまく作られていた。ただ、問題の中に秋田放送の社屋の外観がヒントとなっているものがあり、秋田市以外の視聴者には難しかったのではないか。

キャスティングが番組をいい雰囲気にしていた。回答者のノンスタイル・井上裕介さんが、進行上の細かなエラーに対して的確にツッコミをいれて、本来であればカットされていた要素が、逆に番組構成上大事なボケになっていた。また、クイズを出題するスギちゃんが、マスクで顔を隠した正体不明の怪人という設定ながらパッと見て誰だかわかる、という巧みなアイコンとなっていて面白かった。

最初に「テレビ×アプリ×謎解き」というタイトルを聞いて何の番組かわからなかった。時代は明らかに変わってきているのだ、ということを実感した。クイズの問題は私にはとても難しくて全然わからなかったが、制作者の説明で比較的優しい問題だ、と聞いて、自分がいかに凝り固まった考えで生きているか、反省させられた。頭の中の、普段使わない部分に血が通っていくような番組だった。

70周年の記念番組として、思い切ったことをよくやったと思う。金曜日のゴールデンタイムに、会社を挙げて取り組んでいることが画面から伝わってきた。若者のテレビ離れ対策として、テレビの放送にスマホアプリを同期させて、番組の進行に合わせてクイズの問題が出されるというのは,よく考えられた仕組みで、未来に向けた素晴らしいチャレンジだった。

井上さんのキャスティングが良かった、という意見があったが、そのコメントやツッコミを導く設定も台本の中にかなり埋まっていた感じがする。井上さんも作り手の意図をよく理解して返していたので、そのコンビネーションが良かった。そうしたやり取りを出演者みんなが面白がっているのが視聴者に伝わってきていた。

一点問題提起として、CMが見てもらえるのかが気にかかった。スマホアプリを使った視聴者参加型のクイズなので、問題が出されてCMに入りCM明けに回答が出る、という流れだと、CMの間も視聴者は一生懸命考えているのではないか。ただ、そう言ったことも含めて、課題や可能性がたくさんある、チャレンジングで楽しめる番組だった。
といった意見が上がりました。

第648回秋田放送番組審議会リポート

第648回番組審議会が4月23日に秋田放送で開かれました。合評番組は「世界自然遺産登録30周年 世界でただ一つ 特別なブナの森」でした。

委員からは
映像がきれいな番組だな、というのが第一印象。番組が始まってすぐ、ドローンを使った上空からの映像で、人間は自然の中で生かされている、ということを感じることができた。番組の中に、同じ世界自然遺産の屋久島が登場したが、木道や展望デッキなどがきちんと整備されていて、翻って白神山地はどうなのだろうか、ということを考えさせられた。

案内役として出演したフリーアナウンサーのコメント力の高さに感銘を覚えた。「縄文人とつながっている」「山に抱かれ、自然と一体になっている」などの表現がとても面白かった。

白神の自然の中で見たもの、感じたものを、五感を通じて言語化していた。「優しい森の広さ」「杉が1本もない自然の森」「3000年前に縄文人が見た風景」など、感じたことを言語化していく営みを積み重ねることで、白神の魅力はもっと世界共通のものとして広がっていくのではないか、と感じた。

自分は高校生時代に山岳部だったが、苦しいことばかりで山登りにはいい思い出がなく、周りの人たちが山に登る、と言っていても登ってみようという気持ちはなかった。しかし、この番組を見ていて、こんなに美しい風景が身近にあることを知り、訪れてみたいという気持ちになった。フリーアナウンサーが紹介なく流れの中で登場したことに違和感は覚えたが、番組を見るとき、構成や表現など細かなことを気にするよりも、見ている人の気持ちを動かすこと、行動へと駆り立てることが大切なのではないかと思った。

白神山地の価値と魅力がわかりやすく表現されていた。制作者が自分でカメラを回しながら撮ったという映像を見ながら、自分も一緒にブナの森の中を歩いているような臨場感を覚えた。

フリーのアナウンサーは番組途中から登場し、屋久島でも登場していたが、そのことに混乱を覚えていた。彼女が番組の最初から最後まで、ナビゲーターとなっていれば、番組は非常にわかりやすいものになったと思う。また、屋久島のシーンの比重が大きすぎはしないか、などとも感じていた。しかし、山が嫌いだったという委員が、番組を見て白神山地に登ってみたくなった、という発言を聞き、考えさせられた。作品は完成度が全てではない。見た人の心を動かせるか、そこが一番大切であり、それは制作者自身が楽しんでいることや作り手の想いが画面に現れている事なのではないか。たとえその思いに引きずられて番組の構成が乱れるようなことがあっても、思いや躍動感が画面に表れていればそうした欠点は消し飛んでしまうものなのかもしれない。
といった意見が上がりました。