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番組審議会リポート|
PROGRAM COUNCIL REPORT

第661回秋田放送番組審議会リポート

第661回番組審議会が7月22日に開かれました。合評番組は「シン・アキタの夜明け~動き始めた鈴木県政~」でした。

委員からは
テロップの入れ方やBGMに「大いなる秋田」を選曲するなど、細かいところが丁寧に作られた、見やすい番組だった。全体を通じて鈴木県政への期待や希望を持てるに番組だったが、一点気になったのは、田村アナウンサーが前知事の他県の食べ物を悪く言う発言をいじっていた、あの質問は適切だったのだろうか。

今後の施策について人口減少対策と農業振興を語っていたが、マーケティング手法やCO2削減など、根本的な解決策とは正直言い難い話で、もう少し深掘りしてほしかった。ただ、県議会に説明する前に踏み込んだ話はあまりできない旨言われていたという説明が制作担当者からあり、苦労してまとめたのだ、ということが分かった。

新しく誕生した知事が初めて登庁するシーンや、公園で一般市民と触れ合うシーンなど、視聴者にその姿が伝わるいい番組だったと思う。できればこういった番組を毎年作って、その年に発言したこと、何を実行しどう結果が出たのかを検証してもらいたい。その際にはぜひABSアプリなどを利用して、視聴者の意見やアイディアなどを伝えていける双方向の番組にしていってほしい。

重点施策を説明する際に、導入するものについてもう少し説明が欲しかった。人口減少対策で千葉県流山市のケースを参考するとのことだったが、具体的にどういった点を取り入れていくのか?また、農業振興で二酸化炭素削減を収益に結び付けるとのことだったが、だれがそのお金を払ってくれているのか、など、もう少し背景を説明してもらえればより理解が深まったのではないか。

選挙の際自分は秋田県出身者に知事になってもらいたいと思っていたので、少しがっかりしていた。しかし、その後のニュースやこの番組で知事の素顔を知り、今までの知事とは違う取り組みをしていることを知って好感度がアップした。

番組の最後に鈴木知事が選挙の中で訴えていた「持続可能な秋田県」というもののイメージが示されていた。県民一人一人が、幸せに暮らせるという見通しが持てること。これが新知事の目指すところなのだ、ということがわかりやすく示されていたと思う。

ゴミ拾いのボランティア活動や、初登庁で職員と一緒に食堂で食事をとるシーンなどが偶然撮影できていてとてもいい映像が多かったが、わざとらしさを感じさせないためには、これが偶然とれたものであることを明かす、という手法もあったのではないだろうか。
といった意見が上がりました。

第660回秋田放送番組審議会リポート

第660回番組審議会が6月16日に開かれました。合評番組は「日本のチカラ #421 マリさんのいぶりがっこ ~大好きな味を いつまでも~」でした。

委員からは
この番組の主人公の加藤マリさんは、いぶりがっこ作りだけではなく、スキーのコーチ、ホテル経営、子育て、犬の世話と、何足ものわらじをはいて大変そうなのに、常に笑顔で楽しそうだ。見終わって「頑張ろう」という気持ちになれる、メッセージ性の強い番組だった。

漬物文化が盛んな秋田の中でも、いぶりがっこは全国的な人気商品となっている。しかし、高齢化と食品衛生法の改正で、昔ながらの味を受け継いできた年配の人たちが作りにくくなっている中、若い人がそれを受け継いでくれるというのはありがたいことだと感じた。ただ、「いぶりがっこの伝統を守ろうと奮闘する女性農家の物語」というナレーションあったが、ここに「女性」はいるだろうか。「男性農家」という表現はしないと思うので、そこが少し気になった。

主人公のマリさんも、加藤家の方々もみなさん明るくて、前向きないい番組だった。しかし、現実問題として高齢者の作り手がお金をかけて法律に則った加工所を作ることはできないし、それをマリさんが作ってみんなで使っている、という状況を、どうやって成立させたのかを具体的に示して欲しかった。そうすることで、より、いぶりがっこの伝統は守られていくだろう、ということを確信できたと思う。

多額の投資をして作った作業所を、共同作業所として今まで何十年もいぶりがっこを作ってきたレジェンドのような方たちに使ってもらう、というのは素晴らしいことだと思った。マリさんとお年寄りたちが、できあがったいぶりがっこを試食しながら笑いあうシーンで番組が終わっていたのも良かった。すがすがしさが心に残った。

大根を栽培し、加工し、自ら販売する、といういわゆる6次産業ともいうべきものが見事に成立していた。昨今は後継者がいないことから衰退していく農業産地も多く見られるが、マリさんの事業はそうした現場にとって参考になるものなのではないか。

この番組には、明るく前向きなマリさんの日常の陰に色々な問題が埋め込まれている、と感じた。一例を挙げれば、食品衛生法の改正は果たして妥当なものだったのか、それによって消えていく地域の伝統について政治や行政はどう向き合うのか、という問題もはらんでいる。ひとつの番組で何もかも語りつくすことは難しいかもれないが、そこに収まりきらない疑問が湧いてきた。それがこの番組の持っている深さであり力なのかもしれないが、番組としてまとめていくことの難しさも併せて感じた。
といった意見が上がりました。

第659回秋田放送番組審議会リポート

第659回番組審議会が5月29日に開かれました。合評番組は「ABS news every.+ 消えゆく県魚~ハタハタを追う~」でした。

委員からは
ハタハタが少なくなっている、というのは度々聞くことだったが、ここ数年で急激に減っていることを番組を通して確認した。地球全体の温暖化が止められない中でどうやって現実に折り合いをつけていくのか。漁師が減ってきている中で秋田の漁業をつなぐためにどうしたらいいのか、という部分にも触れて欲しかった。

タイトルになっている「県魚(ケンギョ)」という言葉だが、県に問い合わせたところハタハタについては「県の魚(サカナ)」と呼んでいるとのことだった。

映像を通じて、ハタハタが取れないことによる漁師たちのいら立ちや焦り、あきらめも混じったような何とも言えない様子が伝わってきた。ハタハタという魚が特別な魚なんだということが良く分かった。番組の終わりに一人の漁師が言った「ハタハタの生命力に懸けるしかない」という一言が、祈るような思いやハタハタへの愛情を表現していて、とても感慨深かった。

ハタハタの漁獲量が減る理由として「レジームシフト・生態系の構造転換」というものが挙げられていた。これに対応して資源量を増やすために禁漁期間が設けられた、ということだったが、これが現在の話ではなく過去の話だったことで、取れなくなった理由と時間軸が行ったり来たりしている印象があった。録画を繰り返し見ることで理解できたが、1回しか見ていない人はどう感じたのだろうか。

番組を見ていて、漁師の気持を考えると心が苦しくなってきた。冒頭で、家にやってきたなまはげのお膳にハタハタが出ていたり、子供がおいしそうに食べている映像から、ハタハタが愛されている存在なのが伝わってきた。そのハタハタが激減している。「来年はきっと来るはず、大丈夫」と自分に言い聞かせるように語る漁師の一言に胸が痛くなった。漁師という仕事に対する明るい展望や対策といったものも示してほしかった。

ハタハタの漁獲状況をグラフで表したり、日本海側の各県の対策を地図に落とし込んだりといった、見せる工夫がされていて良かった。

昨シーズンの総漁獲量93トンに対して今シーズンが2トンという、驚くような激減ぶりが生々しく強烈に伝わってきた。この状況にどう対応すればいいのか、多くの人に真剣に考えてもらうためには、下手に明るい希望で終わらなかったことが良かったのかもしれない。今後行われるそうした議論に応えるためにも、この問題には継続的に取り組んでいって欲しい。
といった意見が上がりました。