秋田で愛される"ギバサ"に危機…収穫量が過去最少に並ぶ 養殖・増殖試験の結果は?秋田・男鹿市
春先に収穫されるアカモク、秋田ではギバサとして親しまれている海藻の収穫量が、去年、過去10年で最も少ない量に並んだことが、県水産振興センターのまとめで分かりました。
2023年夏の記録的な暑さで海水温が上昇したことが要因のひとつと見られています。
男鹿市では、県によるギバサの養殖・増殖の試験が行われていて、8日は、去年の春から戸賀湾で育ててきたギバサが収穫されました。
男鹿市の戸賀湾では、県水産振興センターによるギバサ増殖の試験が行われています。
約1年かけて育てたギバサが、8日、収穫されました。
県水産振興センター 甲本亮太 増殖部長
「テトラ沿いにブロック、1番から11番まで。1番にまず行きます。我々が潜って、そのブロックについてまず刈り取りをしてください。ブロック一個ずつのおおよそ(の収穫量を)把握したいんですよ」
ギバサは、春先の短い期間、県の沿岸全域で収穫されています。
かつては20トンから50トンほどのまとまった水揚げがありました。
しかし、水産振興センターの調べで、去年、その収穫量が極端に減ったことが分かりました。
特に、男鹿市より南の海域で減少が目立っています。
水産振興センターが調査した過去10年のギバサの収穫量をみてみると、去年は、全域で14トンにとどまりました。
資源保護のために大きな漁場の八峰町八森が禁漁したことなどを背景に、収穫量が大きく落ち込んだ2018年に並んで少なくなっています。
水産振興センターは、「海水温の上昇」が要因のひとつと考えています。
過去10年の海水温を見ると、記録的な暑さとなった2023年の海水温が、ほかの年に比べ、3度ほど高かったことが分かります。
男鹿市での試験は、2年前に始まりました。
ギバサは、種が根付いて育つ“岩盤”の環境に生育が左右されることが分かり、清掃作業を行った上で種まきをした結果、順調な成長が見られたといいます。
そして迎えた、ギバサの収穫。
甲本さん
「ブロックにもよるんですけど、おおよそギバサが量的には多い当初の計画通りかなと。このように毎年安定して生えるというのであれば、天然だと変動が激しいので、このエリアを畑みたいに使うという計画はまだ立てられるんじゃないかなと」
地元の漁師によりますと、今年も、増殖の区域外ではギバサの収穫量が大きく落ち込んでいます。
関向良子アナウンサー
「これからはギバサの養殖増殖は必要になってくる?」
甲本さん
「ギバサは比較的暖かい海水で生育しやすい海藻なので、今後はこういうふうに人の手で場所を作って、畑を耕して、ギバサを育てると」
「これはもう今後、漁師さんたちにとってみれば、安定した畑のみたいな存在になる可能性があるので、期待しています」
水産振興センターは、今年の夏頃までに、増殖を含めた県内のギバサの収穫量をまとめて、今後に生かしていくことにしています。