小泉農水大臣がJAグループに求めるコメ”概算金”の見直し JA秋田中央会の小松会長は継続する考え示す 秋田
小泉農林水産大臣がJAグループに対し「概算金」を廃止して直接買い取りへ転換するよう見直しを求めていることについて、JA秋田中央会の小松忠彦会長は県内では概算金の仕組みを継続する考えを示しました。
小泉農林水産大臣は今月20日、JA、農業協同組合の全国組織の代表者らと面会し「概算金」制度の見直しを求めました。
「概算金」とはJAが設定した価格で農家に前払いをする仕組みですが、相場に応じて追加払いや返金が行われます。
小泉大臣はこの方法が生産者のやる気をそいでいると指摘し、金額を確定させた「買い取り」を基本とするよう転換を求めています。
これに対しJA秋田中央会の小松忠彦会長は30日、『概算金』の仕組みを継続しつつも農家がコメを作り続けられる金額を提示していく姿勢を強調しました。
JA秋田中央会 小松忠彦会長
「県本部としては最低価格保証という言葉で責任をもって今年販売していくということを考えています」
一方で、備蓄米の放出によって生産現場に不安が広がっているとして、小泉大臣への強い不快感を示しました。
JA秋田中央会 小松忠彦会長
「私ね小泉農相が買い取りということをおっしゃっていますが、小泉農相がいままでやってきたのは価格を安くする安ければいいという感じの方で」「安ければいいという追求は結局最後(生産者が)誰もいなくなるという現実を直視してほしいなと思います」
過去には農家の生産コストを下回る金額が提示されたこともある「概算金」。
専門紙、米穀新聞の元記者で長年コメの流通や市況を取材してきた熊野孝文さんは、概算金がコメ作りの成長や発展を阻害している面があると指摘します。
熊野孝文さん
「農協組織として(概算金制度は)必要なことだったとは思うんですけどもただ自分たちは(買い取らず)ノーリスクでやっているわけですよね」
「コメの値段というは農協が決めるわけでもない。ましては生産者が決めるわけではない。マーケットが決めるんですよ。これが大前提なんですね。だからマーケットに向き合わないとだめなんですよ。向き合うためには買い取りをしてリスクをとって販売していかないとだめ。それをしないということはコメが産業として発展しないんですよ」
民間業者による生産者からの直接買い取りが増え、集荷率が下がっているとされるJA。
令和のコメ騒動をきっかけに農家のための組織としてどう存在感を示していくのか。いま岐路に立たされています。