【WEB特集】行政が描く中心市街地の活性化とは 長期閉店の老舗百貨店との隔たりも明らかに これまでの動き 秋田市
秋田市の沼谷市長は今年6月、秋田市中心部で5年以上臨時休業を続けている「木内」の代表者と連絡をとり、意見を交わしたことを明らかにしました。
臨時休業からこれまでの市や関係者、店舗の動向をまとめました。
♢♢♢ 長期閉店のきっかけ 新型コロナウイルスの感染拡大
■2020年3月
県内で初めて新型コロナウイルスの感染者確認。
木内が臨時休業を始める。
■2022年6月13日
秋田市議会・一般質問で安井誠悦議員が市側に以下の質問。
「駐車場敷地を含めた施設等の活用について所有者と協議してはどうか?」
これに対し穂積前市長が答弁。
「活用された場合には中心市街地の活性化に寄与するが、施設等の活用は一義的には所有者の経営方針等の意向によるもの。まずは所有者の意向の確認について関係者と協力しながら取り組む」
♢♢♢ 中心市街地活性化と民有地活用の道筋…行政のスタンス
■2023年1月11日
秋田放送が記者会見の場で、木内の現状や今後の対応について穂積前市長に質問。
前市長は以下の趣旨の回答。
「民間の土地であり行政がどうのこうのは言えない」
「何とかしたいという思いもあるが、なかなかコンタクトを取れる人がいない。直接コンタクトをとる手配もできていない」
「できる限り秋田に貢献できるように再開していただきたいという外からの思いだけ」
■2023年5月
秋田放送は、木内が所有する複数の駐車場敷地内で、草刈り作業の様子を確認。
作業は外部への委託とみられ、数日間にわたって実施される。
なお秋田放送は、店舗内でも、定期的に清掃作業が行われているとの情報も把握しているが、2025年9月時点で、作業状況の確認や裏付けができておらず、真偽不明。
■2023年6月1日
秋田商工会議所が主体となって定期的に開催している「秋田市中心市街地活性化協議会」の場で、出席者から木内のあり方について以下の発言。
「先代の社長は所有する駐車場を『なかいち』オープン時など好意的に無料で開放してくれたが、現在は広小路のイベント開催時などでも貸してもらえない状況。(現在の社長に)文書で要請を出したが、丁寧な断りの文書が返ってきた」
「商工会議所あるいは行政が中心となり、オーナーに折衝することはできないのかと考えているので、その点を配慮していただきたい」
これに対し、協議会の会長と、秋田商工会議所の会頭を務める辻良之氏が回答。
「オーナーが長期にわたり(県内に)不在という状況が続いており、要請に応えていただくことは困難」
「由々しき問題だと認識しており、商工会議所として何ができるか分からないが、検討すべき課題。商工会議所あるいは中心市街地活性化協議会として動くのがよいかも含めて検討する」
■2023年6月5日
協議会でのやりとりを受け、秋田放送が、穂積前市長に市側の対応について記者会見の場で質問。前市長は以下の趣旨の回答。
「我々としてもなかなかパイプがなくて(木内側と)交渉できる状況になっていない。交渉ができる人等々をまずは探しているのが現実」
♢♢♢ 沼谷氏が市長に 新たな関係構築へ
■2025年6月17日
秋田市議会・一般質問で沼谷市長が、木内側と連絡をとったことを明かす。
木内のあり方について質した藤枝隆博議員からの質問に対し、以下のような趣旨の答弁。
「これまで本市は有効な連絡手段がないなどの理由から折衝は困難と捉え、具体的な働きかけを行ってこなかったが、先般あらかじめの約束はなかったが自ら店舗に足を運んだ」
「市長就任の挨拶を兼ねて代表者に会いたい旨を現地の関係者に伝えたところ、快く承諾いただいた。その後代表者と複数回にわたり電話による話し合いの機会を得た」
「話し合いの中では中心市街地の状況や、秋田の今後等に対する深い思いや考えを伺い真摯に受け止め、私からもまちづくりへの思いを伝えた」
「今後も引き続き中心市街地をはじめとする街の将来を見据えて対話を重ね信頼関係を構築していきたい」
「木内側の考えや気持ちを県も市も十分にくみ取ってこれなかったのかなと感じた」
「店舗は休業しているがそれとは別のかたちでしっかり経営していることを伺った」
「現時点で具体的な協議の場を設ける段階には至っていない。まずは継続して話をできる関係を続けていきたい」
■同日午後
市長の答弁を受けて、秋田放送が木内の代表者に電話で取材。
以下の趣旨の回答。
「市長への支持・不支持のような考え方を根拠に連絡をとったわけではない。正式な形でアポイントをとってきたので、それに応じたということだけです」
「市には協力しません。(やりとりの)詳細は話さない」
「(今後の店舗や敷地のあり方については)休業中であること以外に語ることはない」
■2025年6月18日
秋田放送が、木内側との折衝を担当する秋田市都市総務課に取材。
臨時休業を始めてから沼谷市長が代表者と連絡をとるまでの間、市として連絡をとろうと試みなかったことを明かす。
理由について市側は以下のように説明。
「有効な連絡手段がなかった」
「民間企業の経営には関与すべきではなく、市からの要請や依頼もなかった」
■2025年6月27日
定例の市議会閉会にあたり沼谷市長が記者会見。木内側とのやりとりについて秋田放送が質問したところ、以下の回答。
「議会で答弁した以上のお答えは差し控えたい」
「報道によりますと『市に協力しない』というお言葉もあったようだが、それはそれ。私は私。私自身としては市のトップとして引き続き関係構築するよう努めていきたい」
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