記録的な大雨で県内は10の河川が氾濫 各地で浸水被害 引き続き土砂災害などに注意を 秋田
2日からの記録的な大雨で県内では10の河川が氾濫し、各地で浸水被害が出ています。
一部地域に出されていた緊急安全確保の情報は3日朝、すべて解除されましたが、引き続き土砂災害などに注意が必要です。
2日の夜遅くから未明にかけても活発な雨雲が流れ込んだ県内。
発生の可能性が指摘された線状降水帯は確認されませんでしたが、雨脚が強まった秋田市では冠水した道路もありました。
進藤記者
「能代市中心部です、本来この下は川が流れているんですが、増水して向こうの田んぼまで完全に冠水してしまっています、さらにその水は国道にも流れ出てしまっています、現在は一方通行にして浅いところを通れるようにしているということです」
能代市松長布では、大雨から一夜明けた3日朝も市街地が、水で覆われていました。
能代市は、近くを流れる悪土川があふれたことが影響したほか、排水しきれなかった水がたまる内水氾濫も発生したとみています。
冠水した道路では片側通行や う回路を設ける措置がとられています。
3日未明までの24時間降水量の最大値は、北秋田市比立内で236.5ミリ、鹿角市八幡平で222ミリ、北秋田市脇神で213ミリ、大館市で205ミリ、能代市で181.5ミリで、いずれも観測記録を更新。
各地で平年の9月1か月分を上回る雨が1日で降りました。
松長布地区では3日朝早く、あたり一面がヒザを超える高さまで水に浸かり多くの住民が避難したといいます。
自宅の2階に逃げたままの人もいて、消防がボートで救助する場面も。
消防によりますと、15人が住宅に取り残されていましたが全員が午前中に助け出されました。
けがをした人や体調不良を訴えている人はいないということです。
付近に住む 杉山雄太さん
「降ったりやんだり、どさって降ってやんでどさって降ってやんで変な感じでしたね」
付近に住む 田近美和子さん
「いま、水ついてます。これで2回目」「去年おととしは箪笥の上まで水ついて、なんも言われない」
住民
「4時半に起きたっけ、あ、車大変だって」
住民
「毎年だな、降る量いま昔と違うもの」
住民
「水門開けたっていうから」「流れてない感じするもんな」
国土交通省能代河川国道事務所によりますと、米代川の水位上昇にともない支流の悪土川につながる水門が2日夕方に閉じられました。
その後はポンプによる排水が夜通し続けられましたが追い付かず、国道まで水があふれたとみられています。
能代市では3日時点で住宅17棟の浸水被害が確認されています。
冠水で立ち入れない所もあり、被害はさらに増える見込みです。
10の河川が氾濫した県内。
五城目町では、内川川と富津内川があふれました。
内川川は、今年2度目の氾濫です。
川のすぐ近くに住む松橋テル子さんは、自宅の小屋が水に浸かりました。
3日は、朝から親戚と2人で泥のかき出しに追われていました。
松橋テル子さん
「雨降るたんびこういう状態だから本当。そしてほら、そこに橋あるから、橋さ今度ゴミ引っかかってみんなこっちゃ来るんだもの。大変だ。体調悪くてきのうも医者さ行ってしょっちゅう医者さかかってるのにこういう重労働だな。本当に」
松橋さんは、なによりも人手がほしいと話していました。
一方、こちらの住宅では。
記者
「この辺りも水来たもんですか?」
沢田石孝喜さん
「うん、当然よ。ずーっと。一番はボンベのところ、ガスボンベのところ」
記者
「水の跡が」
沢田石さん
「水の跡。あれまで」
沢田石孝喜さんの住宅は、床上まで水に浸かりました。
大雨に備え、畳や家具を高いところに寄せるなどの対策をしていましたが、小屋に置いていた仕事道具は水に浸かってしまいました。
沢田石さん
「ただ仕事上で、工具な。工具だけはこうやって水に浸かれば、全滅です。それ一番痛い」
外壁のリフォーム工事中だった沢田石さんの住宅。
3日は作業員が復旧を手伝ってくれました。
記者
「こうやって手伝ってくれて気持ちとしては今どういう」
沢田石さん
「あー、最高だ。これだけ1人か2人(だと)大変だ」
手伝っていた作業員
「普通であればやっぱりやらなければいけないしな。ただその気持ちだ」
3年前や去年にも地域を流れる川が氾濫した上小阿仁村の仏社地区。
こちらは住人の男性が2日、自宅の2階から撮影した映像です。
川と道路の境目はまったくわかりません。
男性は「地区一帯がまるでダムのようになっていた」と話していました。
撮影した住民
「連続してますので、なんとか着手、(河川改修)工事に着手していただきたいなというのが本音ですね…」
川が氾濫するたびに浸水被害に遭っている人もいます。
自宅のほか、母親が暮らす“母屋”が床上まで浸水した齊藤泰さんです。
母屋は以前、大雨被害を受けた際に床の一部などを新しくしましたが、再び水に浸かってしまいました。
齊藤泰さん
「ちょっとしんどいっすねやっぱりこれだけであともう二度と起きませんだったらいいけどこのくらい続くとまだあるのかなっても思っちゃうし。」
「家、移すとかも考えなきゃいけないのかなってとこはあるけど、まだ判断しきれてないところが正直なとこかなぁ……」
度重なる水害への対応は、地域で暮らす人にとって大きな負担となっています。
土屋弘樹記者
「こちら、もともとは田んぼが広がっていたということですが、あたり一帯広い範囲にわたって水に浸かってしまっています。元々どういった風景だったか全く想像がつきません」
北秋田市では、収穫を間近に控えた田んぼが広い範囲にわたって水に浸かりました。
そこにあるはずのイネの姿は全く確認することができません。
このあたりの田んぼは、先月の大雨でも水に浸かる被害に遭ったばかりでした。、
別の場所では、あわやの事態も。
土屋記者
「田んぼの中を通る道で車が1台水につかり、動けなくなっています」
消防などによりますと、3日午前11時20分ごろ、70代の男性が運転する車が冠水した道路で動けなくなりました。
男性は約20分後に救助され、けがはありませんでした。
救助された運転手
「これぐらいだったら大丈夫なんじゃないかなって思って走っていったら、だんだんだんだん深くなって、途中でもうこれじゃあちょっと行けないかなと思って止めました」「やっぱり無理しない方がよかったねと思いますね。ちょっとでもやばいんじゃないかなと思ったら、引き返すということが一番だと思います。いい経験になりました」
県内をまたも襲った記録的な大雨。
被害の調査はまだ始まったばかりです。