周辺住宅への被害が強く懸念される空き家 これまでの交渉は難航 市が所有者に解体や撤去を”命令”へ 秋田市
秋田市は市内の空き家1戸について、倒壊や、周辺の住宅への被害が強く懸念されることから、所有者に対して解体や撤去を義務づけることを指示する方針を固めました。
秋田放送が入手した市の内部文書には、所有者との交渉が難航している状況が記されています。
市は所有者による解体や撤去の動きがなければ、市が強制的に行う「代執行」も視野に入れた対応をとることにしています。
日中、比較的交通量が多い道路沿いにも、空き家はあります。
市の郊外にあるこの建物は天井や壁が崩れていて、建物の中にはがれきが積み上がっているのも見えます。
周辺の住民によりますと、秋田市などが一定の安全対策を講じているものの、事実上、放置されている状態です。
秋田市内には、おととし時点で、賃貸や売却用ではない一戸建ての空き家が8,970戸あり、市はこのうち特に倒壊の危険性が高く、速やかな解体、撤去が必要だと判断した1戸を、今年1月、『特定空き家』に認定しています。
29日は建築や法律の専門家と、特定空き家や空き家全般への対応策について意見を交わす会合を開きました。
柿﨑武彦副市長
「管理されず放置されているものについては、倒壊や建材の落下、飛散といったリスク、さらには地域における衛生景観に深刻な影響を及ぼす。そういったことで喫緊の課題となっております」
特定空き家の議論については非公開で議論が進められましたが、実態把握の経緯は、市への情報公開請求で開示された資料に詳しく記載されています。
市が、この特定空き家について本格的な調査を始めたのは2020年からで、所有者の特定や交渉、そして安全対策も進めてきました。
2022年からは、所有者にあたる人物と、連絡を取り始めています。
「順位は一番低いが相続権が回ってきて、他の相続人が放棄したことにより全相続権が移ってきた」
意図せず相続人になっていると説明した、空き家の所有者。
今年1月には、市の職員が初めてその人物の元を訪れ、速やかに対応をとるよう求める文書を渡そうと試みました。
「ドアを叩いて呼んだところ本人が玄関ドアを開けた」
「被相続人であるか確認した」
「事情を説明したところ逆上して話した」
市との直接の話し合いには応じなかった、空き家の所有者。
「指導文書を手渡しし説明しようとしたところ…文書を突き返されたうえ、玄関ドアを閉められた」
「このあと何度も『話を聞いて欲しい』と玄関越しに呼びかけたが、出てこなかった」
市は解体や撤去を急ぐ必要があることから、所有者に、より強制力がある措置、「命令」を出し解体や撤去を義務づけることを指示する方針です。
命令が出た場合、空き家の住所も公表します。
命令を出すにあたっては専門家との会合の場で意見を募る必要がありますが、市は、これまでの対応や今後の方針には理解を得られたと説明しています。
秋田市は、この特定空き家について、今後、このような対応をとることにしています。
市はちかく所有者に対して、命令を出すことを事前に通知し、この措置に対する意見があるかどうかを受けつけます。
市が定めた期限までに応答がなければ、正式に「命令」の措置へ。
命令にも応じない場合は、市が強制的に解体・撤去を行う、「代執行」の検討を始めます。
なお、意見が出された場合は、その内容を改めて確認し、所有者の主張に妥当性があるかどうかを改めて判断することにしています。