生活保護の市民の一部に市が誤って多く支給した支援金 総額約3,000万円の返還要請を取りやめる方針示す 秋田市
秋田市は、生活保護を受ける市民の一部に誤って多く支給し、対象者に返還を求めていた支援金について、返還の要請を取りやめる方針を明らかにしました。
市が現在返還を求めている額は約3,000万円に上っていて、県が一部の市民への返還要請を取り消すべきと決めたことを踏まえた判断です。
これは、秋田市の沼谷市長が返還要請の取り消しを求めてきた市民団体と29日、面会した中で明らかにしたものです。
沼谷市長
「返還を求めていくということ自体が、生活保護制度、あるいは日本国憲法の趣旨に合わない」「分割であっても少額であっても、(返還を)求めていくことが、その方の現状における生活、最低限の生活、憲法の保障する最低限度の生活というものを損なう恐れがあるのではないかと」
秋田市は、生活保護を受ける市民のうち、障害がある人に追加で支給する障害者加算と呼ばれる支援金を約5年間、誤って多く支払っていたことを、おととし明らかにしていました。
市が誤って多く支払っていたのは120人分で、総額は約8,100万円です。
対象者のうち3人が県に対し返還が妥当かどうか判断を求めたところ、県は今月、返還要請が違法であると結論づけたことから、市は3人への返還要請を取り消すことを決めていました。
市はこのほか、多く支払った分を生活に欠かせない費用に充てたと判断した対象者36人にも返還を求めていませんでした。
ただ、当初の対象者全体の6割あまり、76人については総額約3,000万円の返還を求めていて、対象者の中にはすでに返還した人もいます。
市は今後、1か月から2か月程度かけて返還を取り消すための手続きを行うことにしていて、既に市に返還した人についても、対象者に戻す措置をとる方針です。
秋田生活と健康を守る会 後藤和夫会長
「もう1か月ないし2か月、きちんとした手続きを踏むために期間はかかるようですが、そのあかつきには、本当にみんなで喜べるようなきちんとした判断を聞きたいというふうに思っております」
また、支援を行ってきた団体は、市に対し、返還する必要性がなくなる対象者への誹謗中傷が起こらないような対応策も検討するよう求めました。