【参院選 2025】秋田県選挙区 現職・元職・新人の3人が出馬を表明 活動が本格化する立候補予定者を追う
この夏の参議院選挙について、秋田県選挙管理委員会は、来月3日公示、20日投票の日程で準備を進めています。
秋田県選挙区には、現職と元職、それに新人の、合わせて3人が出馬を表明しています。
公示日が迫る中、活動が本格化してきている立候補予定者3人を追いました。
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自民党公認候補として、夏の参院選への出馬を表明している、元参議院議員の中泉松司氏46歳。
取材した日は、秋田市郊外の田んぼに立ち寄りました。
自らも集落営農組織で農業に取り組む中泉氏。
すぐにこの地域の課題に気づきました。
中泉松司 氏
「今歩いて来る時も(農道が)容易でないなっていうのを感じながら」
この日訪れた農家は、中泉氏に、「相次ぐ離農でほ場の整備が追いつかず、効率的な営農ができない」と訴えました。
農家
「二十町歩を受けていた方が亡くなったとか廃業するっていうことで、それを個人に振り分けできているから、二十町歩を超えてきている農家さんたちも増えてきているので」
中泉 氏
「ただ個人で受けて効率的にやっても限界ってあるからですね」
農家
「それを考えると、絶対的に整備が必要だし、今後その担い手になる方に引き渡すにしても、整備した状態じゃないと誰もやってもらえない」
中泉 氏
「担い手の問題あるっすね」
秋田市の農家の長男として生まれ育った中泉氏。
12年前、34歳の若さで参議院議員に初当選しましたが、6年前の選挙で議席を失いました。
日本の主食・コメが危機的状況にある中、農業県秋田の声を国政に届ける役目を担うべきは、現場を良く知った自分だと強調しています。
中泉 氏
「今、手をつけないと非常にまずいところがたくさんあって、今、主食の議論が大変な状況にあるけど、それを逆にチャンスに変えて、こういうことをしっかり改善していく、国政レベルでしっかり改善するチャンスに変えていかなければいけない」
中泉氏は、旧69市町村を回って、有権者の声を聞く対話集会を続けています。
「農業県秋田をもう一回、若者が農業に入ってこられるような、そういう県にしてもらいたいと思って発言しました」
「ご意見・ご質問ありがとうございます。先ほども触れましたけど、率直に言って、この5年間のうち4年間は、私、農業をやって、本当に厳しいなというふうに感じてきました」
「これはある意味、国民生活にとってピンチな面もありますけども、農業を議論する上ではチャンスだと思います」
この日の司会を務めたのは、能代市議会の鍋谷暁議員です。
かつて、中泉氏の秘書を務めていました。
鍋谷暁さん
「6年間のつらい時期というか、辛酸の時期もありましたけど、本人の表情を見ていると、非常に明るくて豊かで期待させるものがあるなと」
「人の痛みが分かる政治家になって、大きくなってぜひ返り咲いてほしいなと」
集会の最終盤。
駆けつけた支援者から中泉氏に手渡されたのは、風が強いほど高く飛ぶとされる地元の縁起物・能代凧の絵でした。
中泉 氏
「自分にプラスになるものでいがったです。みなさん本当にありがとうございました」
中泉氏は、国政を巡り吹く逆風を力に変えて、返り咲きを果たしたい考えです。
中泉 氏
「どのようにすれば秋田県に一番恩返しできるだろうか。今の自分の立場で何ができるだろうかということをずっと考え続けて、結論として、やはり自分の経験を生かして、もう一度、国政に行って仕事をするということが、この秋田にとってプラスになるはずだという思いだけは折らずにいたので」
「今回そういった意味で、またその機会を、チャンスを頂けたわけですから、何としてもものにしたいなというふうに思っています」
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国会議員の秘書などを経て、6年前の参院選で野党統一候補として立候補し、初当選した、横手市出身の現職・寺田静氏50歳です。
寺田静 氏
「家賃補助ってどのくらい出る?」
「うちの長男は9万円のところに住んでいて、6万いくら」
「すごーい」
寺田 氏
「市内の幼稚園の人から聞いたら、結局、保育士さんのお給料自体は“公定価格”で一緒なんだけど、首都圏はそうやって住宅手当なんとか手当ってやって、独自に乗せてくるから、結局そっちに流れる」
取材対応が可能とされたこの日。
寺田氏を応援しながらも、家族に自民党の支持者がいる人などから一定の配慮を求められましたが、その会話からは日々の暮らしの中での苦労が見えてきました。
「ちょっときのうさ、コメ30キロ売ってるの見た。玄米2万円だったよ」
「え!」
「高すぎない?」
「見た見た!2万円だったよね」
「それは買えないね」
寺田 氏
「やっぱり皆さんご苦労されているんだなというところはあって、やっぱり短期間に倍になるっていうのは、いろんなあらゆる物の値段、価格、高騰が続いていますけれども、この短期間に倍になるっていうのは、やっぱり生活への影響が大きいですし、まして食べ盛りの子どもたちがいることになると、本当に深刻な問題だなというふうに思っています」
訪れた先々で住民の声を拾い集めて、ノートに記しているという寺田氏。
「放っておけば弱い立場に追い込まれてしまう人たちのための政治」がモットーです。
現在は、公務で秋田と東京を行き来しながら、義理の母親の介護も手伝っています。
介護施設に向かったあとは、県内の宿泊業者でつくる組合の会合へ。
2時間余りにわたって、出席者の声に耳を傾けました。
午後9時前、ようやく翌日用の買い物です。
店頭に並ぶ様々な商品の価格高騰を肌で感じているという寺田氏。
一方で、消費者の立場だけではなく、生産者の立場にも寄り添わなければいけないと考えています。
寺田 氏
「ただ単にお米の価格を下げればいいというものではないというふうに思っています。ただやはり、この1年で倍になるみたいなところは、農家さんに聞いても行き過ぎている、コメ離れにつながってしまうんじゃないかという不安の声を聞いているので、そこは本当にどうやったら変えていくことができるのかっていうのは、考えていかなければならないと思ってます」
6年間にわたり、国政の場で訴え続けてきた、秋田が抱える課題。
寺田 氏
「なかなか全国一律の制度のもとでは、秋田県が抱えている課題というものは解決をしていかないということは強く日々感じています。こうしたところも、国にしっかりと現状を伝えて、秋田が救われるような政策を、法律を作っていくことが、これからの全国の課題を、解決をしていくことにつながるということを、引き続き、県民に訴えていきたいと思っております」
今月からは、県内各市町村で「語る会」を開いて、県民と直接意見を交わすことにしています。
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まずは、名前と顔を覚えてもらうこと。
その目的を果たすため、4月の県知事選挙が終わってから2か月間、毎朝、街頭に立つことを日課にしているのは、参政党の佐藤美和子氏65歳です。
佐藤美和子 氏
「若い普通の人が大抵出るんですけども、秋田に若い人がいなかったので、普通のおばちゃんの私!普通の人がやっている党なので」
佐藤氏は、秋田市出身で、36年間、県内の公立小学校で教員を務めた経験を持ちます。
退職後は、背骨の位置を直して健康増進につなげてもらうための指導にも励んできた佐藤氏が、参院選への出馬を決意したのは、暮らしや仕事を続ける中で感じた、国の行く末への不安がきっかけです。
佐藤 氏
「30年間、所得も上がらないし、税金は高くなるし。このままいったら、日本が衰退の一途をたどって…私はもうね、歳だから死んじゃうからそのうち。本当に本当に、本当そうですよ。若い人とか皆さんとか子どもたちとか、これからどうなっちゃうのって思ったら、やらなきゃいけない。誰もいないんだったら、私がやらなきゃ大変なことになっちゃうって思ってやっています」
今、力を入れて訴えているのは、食や一次産業に関わる取り組みについてです。
佐藤 氏
「日本の食料自給率を100%にすることも大事なことだと思います。特にお米などの保存がきく食料を備蓄することは、国防の観点からもとても大切なことであります」
「農家さん、一次産業に携わる人などには補助金をしっかり出して、公務員並みの所得を保障し、そして国民は経済的に豊かでなければなかなか買えませんので、政府の補助金があって買いやすい、価格を下げて、私たちは摂取できるというふうな仕組みにしていくことが大事だと考えております」
ほかにも、長く教員を務めた経験から、子どもたちが、自分に合った学びの場を自由に選べる制度や、それを後押しするための経済的な支援の導入をすべきとも訴えています。
政策に加え、自分自身や党の知名度を今後どれだけ浸透させられるかが、課題です。
記者「PR、知ってもらうためにキャッチフレーズはどういうものを使う?」
佐藤 氏
「一番考えているのは、やっぱり、『日本の背骨を正す佐藤美和子』なんですけど、この頃はなんか、『戦うおばちゃん』。今日もね(支援者が)おっしゃってくださったように、そこら辺も皆さんに親しまれて、ウケているようなので、それもいいなと思いました」
まだ数は少ないながらも、県内で増えつつあるという党員と連携しながら、県内各地で、街頭演説や対話集会を行い、支持拡大を図ります。