水の安定供給と経費削減へ 横手市が隣接する岩手・西和賀町と浄水場の水を共同利用する「水道広域化事業」を開始 秋田
横手市は、隣接する岩手の西和賀町の浄水場の水を共同で利用する、水道広域化事業を開始しました。
人口減少を背景に、税収の先細りが懸念される中、県境を越えた浄水場の共同運営が、経費の削減につながると期待されます。
横手市と岩手県西和賀町が共同で利用する、柳沢浄水場。
2018年度から稼働していて、合併前の旧湯田町エリアに水を供給しています。
しかし、人口減少や温泉施設の廃業の影響で、水の需要が減り、1日の供給量は、計画の半分以下の約350トンにとどまっていました。
一方、91世帯180人ほどが暮らす横手市の山内黒沢地区にある黒沢浄水場の水源は、湧き水でした。
安定供給が課題で、山間部を通る水の管は、雪解けによる土砂崩れなどで度々破損し、断水することも少なくなかったといいます。
稼働から45年を超え、黒沢浄水場が更新の時期を迎えたことなどから、横手市は西和賀町に協力を依頼し、今回の水道広域化事業が実現しました。
そして、西和賀町から横手市に水を分岐する約2.3キロの配水管が完成し、先月31日、通水式が開かれました。
「水道広域化事業の完成です。どうぞ!」
横手市 髙橋大 市長
「広域的な結びつきが極めて強い地域でありますが、この度の事業により、より一層のつながりを構築できたことは本当に喜ばしい限りでございます」
西和賀町 内記和彦 町長
「本町としましては、給水量の増加が見込まれることから、余水の有効利用が図られ、機械損失の低減につながると同時に、収益面でもメリットも大きく、水道事業の経営にとって、非常に有益なものになると判断したものであります」
横手市によりますと、県境をまたいだ水道の広域化は東北では3例目で、新たに浄水場を建設する場合と比較し、40年間で約2億円の経費削減につながると試算されています。
生活を支える水の安定的な供給の実現に、山内黒沢地区の住民は。
山内黒沢地区自治会 佐々木雄一郎 会長
「水圧もちょっと前より強くなったような感じもします。心配することなく、今度、安心してやってもらえるので、すごく助かっています。本当にありがたいことでした」
人口減少を背景に、税収の先細りが懸念される中、県境を越えた浄水場の共同運営が、公共施設の有効活用と経費の削減につながると期待されます。