【特集】まもなく90歳!優勝約300回 “現役”の長距離ランナー 練習に同行した関向アナもギブアップ…元気の秘訣とは 秋田
定年退職後に始めた陸上競技で、多くの記録を打ち立ててきた長距離ランナーが秋田市にいます。
大会で優勝を重ねること約300回。
90歳を目前にした今も走り続ける男性を取材しました。
秋田市の今野久夫さん御年89歳。
12月には90歳の誕生日を迎えます。
週に4日ほどランニングをしていて、マラソンの大会にも出場する現役のランナーです。
その練習に同行させてもらいました。
今野さんのランニングコースは、自宅周辺を起点とした10キロほどの道のりです。
今野さん
「日差しがあるからね、いつもサングラスで来るんだけども。 きょうは風もあるしちょうどいい」
今野さんは月に120キロ走り切ることを自らに課しています。
関向良子アナウンサー
「外走ってればやっぱり気持ちいいですか?」
今野さん
「気持ちいいねえ。まず景色は見る」
(向かいから走ってきたランナーとハイタッチ)
関向アナ
「よくすれ違うんですか」
今野さん
「うん、しょっちゅう」
1キロを6分のペースで軽やかに走る今野さん。
ついていくのがやっとです。
関向アナ
「いつもこの位のペースで走るんですか」
今野さん
「いやもっと速いですよ。キロ7分ていうのは調子悪いときの(タイム)」
関向アナ
「全速力!まじですか~全然、息あがってないですもん」
終始、息が大きく乱れることがなかった今野さん。
一方、関向アナは5キロ手前でギブアップしてしまいました。
実は今野さん、秋田を代表するランナーのひとりなんです。
ずらりと並んだトロフィーは、陸上の大会で手にしてきた栄光の数々です。
今野さん
「全部で500回くらい出た、 大会には。んで優勝したのが300回以上」
中でも、驚きの記録が…。
今野さん
「これがね、秋田でやって、1回日本新記録出したんですよ。その年に東北大会があって岩手で。 そこからまた3秒縮めて、また日本記録」
18歳以上が生涯にわたって競い合う”マスターズ”の陸上競技。
今野さんは4年前、85歳から89歳のクラスで1,500メートルの日本新記録を打ち立てました。
今野さん
「いや最初わかんなかったの。でこれ日本新記録ですーって言われたとき初めてそうかと」
陸上自衛隊の隊員だった今野さん。
テニスやラグビーなど様々な運動部に所属し、スキーでは国体にも出場しました。
陸上競技を始めたのは定年退職したあとのこと。
ダイエットのために走り始めたことがきっかけでした。
今野さん
「今から12年くらい前に膝手術してるでしょ。それがだいぶやっぱり痛くなってきて、あんまり無理できないって感じではあるけど走れないわけではない」
膝のけがを乗り越えて日本記録を樹立した今野さん。
いまも、通院しながらトレーニングを続けています。
走ることは生きがいのひとつとなりました。
心のよりどころは、もうひとつあります。
週に一度開かれている卓球クラブです。
若い頃は良い成績を残すことに躍起になっていという今野さん。
いまはスポーツを楽しむこと自体が一番の目的です。
仲間の差し入れに舌鼓を打ちながらの休憩も大切なひとときです。
膝に大きな負担がかかる卓球。
それでも足を運び続ける理由があります。
今野さん
「やっぱり、楽しいんですよここ。 本当に話すのとかね楽しいし、 卓球の動きは横の動きで膝に負担がかかるんだけど、笑顔でやれるっていうのは、一番いいですね」「そういう気持ちがあればね、若返るんじゃないですか、ふふふ」
仲間と共に汗を流した翌日は、再び自分に向き合う時間です。
今野さん
「ひとつの目標だからね90歳っていうのは」
「記録もそうだけどね、楽しみってのはいっぱいあるんです。記録そのもののね(タイムが) 落ちるか落ちないかというのは 一つの勝負なんだけれども、記録があまり落ちないようなトレーニングをしなきゃいけないなと」
「これから帰って汗流す風呂入ってね、ゆっくり入って。 あと1杯飲んで、というのが楽しみだね」
90歳は目標であり、通過点。
今野さんはこれからも走り続けます。