【特集】コメの価格高騰…寄付集まらず 「食を通して幸せな気持ちに」備蓄米も利用する子ども食堂 代表の思い 秋田

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秋田 2025.07.14 18:20

コメの価格高騰や供給不足が我々の食生活に大きな打撃となっていますが、食材を寄付などで賄う”子ども食堂”も大きな影響を受けています。

コメの寄付も集まりにくくなった中、政府備蓄米も利用しながら食事を提供する大仙市の子ども食堂を取材しました。

子ども食堂「みんなの明日食堂」では、地域のコミュニティーセンター「はぴねす大仙」を会場に月に1回のペースで、食事を提供しています。

代表の因幡久子さんです。

普段は介護サービスの仕事をしながら、「誰一人、一人ぼっちにさせない」という思いから3年前に同じ志の仲間と子ども食堂の活動を始めました。

寄付で集まった食材などを調理する子ども食堂。

この日のメイン・豚肉は企業からの提供です。

栄養バランスもしっかり考えられたメニューの主食となるコメには、「政府備蓄精米」の文字が。

廣田裕司アナウンサー
「コメの集まり具合は厳しいですか?」
因幡久子さん
「去年と比べてだいぶ厳しくて。なので今回は備蓄米を申請していただくことになりました」

政府は、備蓄米を、一般販売用には随意契約などで放出しましたが、子ども食堂などの支援用としては無償で交付しています。

これまでは1回600キロまでの申請を、年間で5回まで。

一団体につき最大3,000キロ、3トンの備蓄米を受け取れる制度になっていましたが、先月下旬には申請回数を2回増やす追加支援も発表されました。

「みんなの明日食堂」を始めて丸3年。

コメもこれまでは寄付で賄っていましたが、コメ価格の高騰を受け、去年の秋ごろから寄付が集まりにくくなり、申請に踏み切りました。

そしてとうとう在庫が底を突きそうになり、この日初めて、無償交付された30キロのうち、70食分、4.8キロの備蓄米を炊きました。

コメをはじめ食材の確保が難しくなってきても、ここで提供する食事の量は減らさないようにしてきたという因幡さん。

因幡久子さん
「物価高で、生活が普通・困窮者とかそういったのに限らず、みんな大変になってきているのかなという感じはありますので」

NPO法人「キッズドア」が5月下旬から先月上旬にかけて、全国の困窮する子育て家庭2,000世帯余りから回答を得た調査によりますと、約8割の家庭が、去年の同じ時期に比べて家計が「とても厳しくなった」と回答しました。

9割以上の家庭がコメが「とても不足・やや不足」していると訴えているほか、種類や栄養バランスなどの食事の質に関しては、子どもの分の質を確保するため、保護者の質が悪化したという回答が8割を超えています。

調理を始めてから約2時間。

食事を楽しみにしていた人たちが次々と訪れます。

定員の60人は、募集を始めた初日だけで申し込みが満員となっていました。

「みんなの明日食堂」は、家族構成などに関わらず誰でも利用できます。

子どもは無料、大人には協力金として200円をお願いしています。

物価高が続く中でも「コメだけでもあれば」食事の満足度も変わってくるいう因幡さんは、コメの供給、そして価格が早く安定することを求めています。

因幡久子さん
「やっぱり秋田県でお米を満足に食べられないというのは、なんかちょっと違うかなと思っていて、世の中いろいろ変わってきちゃいましたけども、でも皆さんに食を通して満腹になっていただいて幸せな気持ちになっていただければいいかなと思います。これを継続していければ一番いいんですけれども、本来であったらこういった活動がない世の中が望ましいのかなと思います」

誰かの明日を支えるために。

因幡さんたちは、これからも地域の居場所作りを続けていきます。

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この先、夏休みに入り学校の給食がなくなると、より食料の調達が厳しくなる家庭も出てくるということで、「みんなの明日食堂」ではコメなどを提供する出張配布も、今月、秋田市で予定しています。

コメ対策、さらには生活格差の解消につながる社会をどのように作っていくのかも政治に求められる役割になっていきます。



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