風車の羽根落下事故から1か月 後を絶たない落下事故 立ち入り規制の必要性は?安全基準の見直しは?
この羽根の落下事故は、風車を設置した事業者が法律にのっとった点検を行っていたにも関わらず、起きてしまいました。
落下事故は過去にも起きていて、県は、安全基準などを見直すよう国に要望することにしています。
古くは江戸時代から、地域住民の暮らしを砂や風による被害から守ってきた松林。
今、その中に立ち並んでいるのが、巨大な風車です。
厄介者だった風を利用して、電力を生みだす。
エネルギー資源の乏しい日本にとっては、まさに救世主のような風力発電。
県内に設置されている風車は、この10年で倍増しました。
市内に設置された風車を紹介する、秋田市のウェブページ。
「通称ももさだ海岸の砂浜にあります。雄大な景色も楽しめますよ」
見学スポットにもなっていた、風力発電所。
しかし。
柴田光太郎アナ
「一番上の羽根、根元から折れてしまっています」
先月2日に事故は発生しました。
長さ約40メートル、重さは10トンほどにもなる風車の羽根が破断。
その一部が、近くの海浜公園に落下しました。
落下した羽根のそばでは、81歳の男性が倒れているのが見つかり、その後、死亡が確認されました。
死因は、体の複数か所に重いけがをしたことによる「多発外傷」。
落下した羽根の一部がぶつかったとみられています。
「事故やけがなく無事に帰ってほしい」
そんな願いも込められたカエルの像がシンボルの海浜公園。
近くの住民
「海岸の掃除もボランティアとかであるので、ちょっと危険ですよね」
「簡単に立ち入れるところなので、囲いみたいなものがあればいいかなとは思いますかね」
風車の柱から男性が倒れていた場所までの距離は、約80メートルでした。
7年前に由利本荘市で風車の羽根が壊れた際、破片が飛び散った範囲を示した地図。
100メートル近く離れた場所で見つかったものもありました。
近くには、海水浴場のほか、小型船が停泊できる施設もあります。
幸い、被害はありませんでした。
本荘マリーナ 金田崇史さん
「私らお客さんの船を預かって管理しているということもあるので、その当時も落下物による被害が無いか、非常に心配していたところではありましたので、また同じようなことがあれば、そこはもちろん困るなというところではあります」
落雷による傷を見逃したまま運転を再開したことで、羽根が折れたとみられています。
現在は運転を再開していますが、秋田市新屋で事故があった風車と同じ機種であることから、県は、安全が確認されるまで、周辺への立ち入りを規制しています。
風車の羽根が折れる事故は、男鹿市でも起きています。
藤丸覚 記者
「宮沢海水浴場から北におよそ2キロの場所に来ています。こちらにある大型の風車羽根の先端部分をよく見ますと、色が変わっていて、補修でしょうか、何か作業が行われているようです」
東京の事業者が設置し、2019年に運転を始めたこの風車。
おととしの夏に、ブレードの先端が折れているのが見つかりました。
風車の周辺には、ネギ畑が広がります。
近くで作業をしていた人
「隣の畑に30センチくらいの羽根の破片が刺さったと聞いています。(刺さったら)ひとたまりもない」
作業のため、男性は、羽根が刺さっていたという畑に頻繁に足を運んでいるといいます。
風車から100メートル以上離れた田んぼでも。
農家
「風車の会社の方から連絡が来て、散らばっているっていうことで。大体このくらいの破片でした。どうしようもできないので、気を付けながら、こっちも見ながら作業をしなければと思っています」
風車は、耐久性の向上や設置基準の厳格化などが進められてきましたが、事故は後を絶ちません。
秋田市新屋の風車も、法律にのっとった点検を行っていたにも関わらず、事故は発生しました。
現在の法律では、風車周辺への立ち入りに関する全国一律の規制はありません。
県は、法律で定められた安全基準や点検基準を見直すよう、国に要望することにしています。