【特集】後を絶たない詐欺被害…知らない番号から電話がかかってきたらどうする?体験談をもとに被害を防ぐ方法を検証

この記事をシェア

  • LINE
秋田 2025.05.23 17:58

電話で不安をあおられた上で金をだまし取られる詐欺の被害が、県内でも後を絶ちません。

ある日突然、知らない番号から電話がかかってきた時、どのような行動をとるべきなのか。

実際、不審な電話をきっかけに被害に遭いそうになった男性に話を聞きました。

■警察官を名乗る相手からアリバイを聞かれ…不審電話を受けた男性の体験談

秋田市で飲食店を経営する、武田了さん34歳。

先月末、武田さんが個人で使用しているスマートフォンに、UQモバイルをかたる相手から電話がありました。

武田了さん
「電話口で武田様のお電話でお間違えないですかって言ってたんですね。フルネームをこのあと聞いていたので、名字は知っていたのかもしれないです」

UQモバイルは利用していなかったものの、相手から名字を言われ、本人確認を求められた武田さんは、とっさにフルネームや住所を答えてしまったといいます。

電話の内容は、武田さんの名義で契約されているスマートフォンが詐欺に使用され、億単位の被害が出ているというものでした。

相手に「このあと福岡警察署の警察官から電話があります」と言われた武田さん。

電話を切って数分後、武田さんのスマートフォンにまた着信がありました。

武田了さん
「福岡警察署の電話番号と、かかってきている電話番号が一緒だったことが、そこで信じちゃったんですよ」

表示された数字は、福岡県警察本部の電話番号と一致していました。

電話の相手は、福岡警察署のバンドウを名乗り、武田さんのスケジュールまで把握しているかのような質問をしてきたといいます。

武田了さん
「アリバイを証明したいって言われたんです。10月から3月までのこの日何をしていましたが、全部僕のお休みの日だったんです、たまたま」
「インスタの情報が多分かなり大きいかなと思いまして」

相手は、武田さんが店の公式Instagramに掲載していた画像から得た情報を使って、武田さんをだまそうとしていたとみられます。

その後、フルネームと住所が書かれた逮捕状まで見せられたという武田さん。

しかし。

武田了さん
「僕がはっきりと詐欺だなって気づいたのが、逮捕状がチャット内で送られてきたんです」
「そこで、あ、これやっぱり詐欺だなと思って、で、その時に警察に連絡して」

詐欺だと気が付いた武田さんは、金銭的な被害を免れました。

■不審な電話にどう対応?専門家の助言

不審な電話があった際、どのように対応したらいいのか。

犯罪心理学を専門とする福岡大学の大上渉教授は、知らない相手にも個人情報を答えてしまうのは、電話ならではの特徴も関係していると話します。

福岡大学 大上渉 教授
「耳元から直接聞くっていうのは、ひとつの要因になっているんじゃないかなと思います」
「耳元から聞こえてくる声っていうのは、ついつい親密性というのを錯覚してしまって、相手に心を許してしまって、この指示に従いやすくなるっていうことも考えられます」
「電話をスピーカーモードにして、受話器から直接話を聞かないということも大切になるかなと思います。スピーカーモードは距離ですね、物理的な距離をかせげるっていうのもありますし、周りの人も、ご家族がいらっしゃれば、周囲の人に話の内容を聞いてもらえますよね。誰かと一緒に話を聞けば、怪しいよねっていうことを言い合って、冷静さっていうものを保ちやすくなります」

さらに大上教授は、「不安をあおるような言葉を投げかけられたり、時間的制限を設けられたりした時に、人は冷静な判断ができなくなる」と指摘します。

福岡大学 大上渉 教授
「人を不安にさせる、本当に感情を揺さぶるような話の内容とか言葉、これは非常に危険な兆候だということですよね。そうしたような話のテーマが始まったら、ひとつ身構えてもいいと思います」
「急がせるような内容が含まれていたら、これもまた疑ってください」
「相手はかなり勉強して、それらしい肩書とか部署、相手の名前を実際に名乗って、本物に聞こえたとしても、それだけではやっぱり信じる根拠にはなりませんよね。相手が一方的に言っていることだけだから、それは証拠になりえないわけですよね。なので、落ち着いて、焦る気持ちは分かりますけれども、落ち着いて、一旦電話を切って、本当にそうしたような人物が相手の言った所属先にいるのかどうか、調べてかけなおすといったようなことも非常に大切になってくるのかなと思います」

■被害が増加 「+」から始まる番号からの電話に注意!

武田さんのスマートフォンにかかってきた電話番号も、後半は福岡県警と一致していますが、よく見ると「+」の表示が。

「+」の表示は、主に海外からかかってきた電話で表示されるもので、県警察本部の調べによりますと、去年相談があった約2000件の不審電話のうち、半分近くが「+」から始まるものでした。

県内では、先月、「+」で始まる番号からの電話をきっかけに、大館市の30代男性が現金730万円をだまし取られる被害がありました。

県警察本部は、「+」で始まる番号からの電話は、基本的に詐欺を疑ってほしいと話しています。

県内でも後を絶たない、電話をきっかけにした詐欺被害。

大上教授が考える対応策は。

福岡大学 大上渉 教授
「究極のニセ電話詐欺の防止策は、そもそも電話に出ないことです。相手と話をしないことです。ですけども、現実的にはそういうわけにもいきませんよね。本当に大切な電話もかかってきますから」
「どんな人でも同じような電話で同じような話を聞くとだまされてしまうんだという前提で、日頃から防犯機能付きの電話を準備するとか、サービスを利用するとか、家族と連絡を取り合って近況を報告し合ったりするというような対策を取っておくっていうことが、やっぱり大切になるんじゃないかなと思います」

県警察本部は、ホームページなどで、国際電話の発着信を固定電話でストップするサービスを紹介しています。

また、県内の警察署では、申し込みや手続きを警察官がサポートしてくれるということです。

武田さんは、今回の経験から、不審な電話があった際は決して1人にならないこと、そして、自分だけではなく身近な人の個人情報に関しても絶対に答えないことが重要だと話します。

武田了さん
「やっぱり節々がすごく全部怪しいので、常に、常に怪しいです」
「怪しいと思ったらすぐ警察署に行ってほしいです。僕が警察署に行くって言った時に、やっぱりその福岡警察署を名乗るバンドウさんが、すごく焦っていたので、多分警察署に実際出向く、何があっても出向くっていうことのほうが重要だと思います」

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

武田さんは、店の公式Instagramに電話番号や名前などを載せていなかったということで、どこから情報がもれたのかわからないと話していました。

見知らぬ番号からかかってきた電話には常に注意を払い、電話に出ない、そして折り返さないということも重要と言えそうです。