岩手では住宅内での死者も…クマの目撃件数が大幅増 この時季の注意点は?専門家に聞く 秋田
秋田県内では、クマの目撃が各地で相次いでいます。
北秋田市の北欧の杜公園では、2度のクマの出没を受け、臨時休園の措置をとっています。
岩手では、先日、食べ物を探しに来たとみられるクマが住宅に入り込み、81歳の女性が襲われ、死亡しました。
専門家に、この時季の注意点などを伺いました。
クマの対策などを行っている、県の自然保護課です。
近藤麻実さん
「単純な比較はできないとはいえ、数としては増えているというのは事実かと思います」
県の専門職員で、クマ対策に詳しい近藤麻実さん。
今年は、去年よりクマの目撃が大幅に増えていると話します。
目撃情報を地図で示す、県のツキノワグマ等情報マップシステム「クマダス」。
去年7月に運用が始まったもので、単純比較は難しいものの、7月の9日間の目撃件数は、今年、去年の3倍ほどの、約300件にのぼっています。
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土屋弘樹 記者
「入れなくなっています」
北秋田市にある県立北欧の杜公園では、8日の午後、クマの目撃情報が複数寄せられました。
体長70~80センチの子グマとみられ、ケガをした人はいませんでした。
県は、10日まで臨時閉園する対応をとっています。
クマは、この時季、繁殖期を迎えていて、オスがメスを探して活発に歩き回るほか、去年の冬に生まれた子グマが約1歳半になり、ひとりだちする頃だといいます。
また、同時に、7月は食べ物も不足し始める頃と言われています。
近藤麻実さん
「ぼちぼち山の中の食べ物が乏しくなってくる、そういう時季です。山の中って、春だと草とか芽吹きの柔らかい葉っぱを食べているんですが、今時季だと葉っぱが硬くなってくるので、アリの巣を壊して食べたりとか、ハチの巣を食べたりとか、あとはそのクワの実はもうぼちぼち終わりますね。サクラももうぼちぼち終わりますね。というところで、あまり食べるものがなく、厳しいクマにとっては、厳しい時期に差しかかってきています」
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県境に近い、お隣・岩手の北上市和賀町の住宅では、81歳の女性が、今月4日、クマに襲われ、死亡しました。
女性は、自宅の居間で襲われていて、クマはその後も捕獲されていません。
また、周辺では、コメを食い荒らされる被害が、連日のように発生しています。
近くの田んぼや倉庫では、クマの姿が確認されています。
近藤さんは、住宅の周辺で、クマに物を食べられないようにすることが最優先だと訴えます。
近藤麻実さん
「簡単に開けられちゃったりとか、もう開いているところから中に入って食べ物を食べられるっていうような成功体験を積ませてしまうと、じゃあ次の倉庫、次の倉庫って、倉庫以外で食べ物のにおいがするってやっぱり人家ですので、そういうところにだんだんエスカレートしていってしまうので、まずそうならないように、きちんと戸締まりをして、食べ物はしっかり食べられないようにしましょうと」
食べ物の味をしめたクマは何度も訪れるようになるので、近藤さんは、小屋や倉庫の施錠をしっかりすること。
そして、食べ物が被害にあったら速やかに市町村などに連絡をして、情報を共有することを重ねて呼びかけています。
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クマによる人への被害は、県内でも今年、2件発生しています。
クマとの鉢合わせを防ぐため、「音を出す」「集団で動く」などの対策と同時に、小屋や倉庫の管理を徹底してほしいと、近藤さんは話しています。