ネコと人がともに幸せな社会を目指して 秋田公立美術大学の保護猫サークルの取り組み 秋田
まずはこちらの数字をご覧ください。「102」。
これは、2023年度、県内で殺処分されたネコの数です。
一方、同じ年度に殺処分されたイヌの数は、「5」。
いずれも大切な命に変わりはありませんが、繁殖能力の高いネコは、イヌと比べて殺処分される頭数が20倍以上となっています。
このような中、野良猫を保護して里親につなごうと活動する、秋田公立美術大学のサークルがあります。
ネコの命とともに学生の心も救おうという取り組みを取材しました。
■美大生たちが保護猫の個性や魅力をPRして里親を募集
藤田裕太郎アナウンサー
「ごめんください。尾澤教授、初めまして。藤田と言います。よろしくお願いします」
保護猫サークル「新屋保護猫いやし処」の顧問を務める、秋田公立美術大学の尾澤勇教授です。
藤田アナ
「2階にね、ネコちゃんたちがたくさんいるということなんですけれども、ワクワク!失礼します、あーいた!1匹、あ、失礼しますー。今1匹…あー奥の方に!奥の方にいっぱい!あ、こんにちはー。みなさん失礼しますー。見てください、見て!楽園!いっぱいいる!すごい!本当にね、この和室、広いですけれども、ここはもう全部、ネコちゃん用の部屋?」
秋田公立美術大学 尾澤勇教授
「ネコの。別にネコのつもりでいたわけじゃないんですけど、作品を、鍛金の作品を置くようなスペースで考えていたんですけど、近隣にいるネコを1匹保護し始めたら、どんどんと」
藤田アナ
「じゃあここに飾られているこの黒いモニュメントは全部もちろん教授の作品?」
尾澤教授
「これ結構古い作品で、ここにゴロゴロ置いてたら、ネコが来るようになって、ネコたちが好きに乗ったり、中に避難したり。あー、出てきた出てきた!」
藤田アナ
「来た来た来た来た!」
教授の力作も、すっかりネコの遊び道具です。
現在は、17匹のネコを妻と2人で育てている、尾澤教授。
元々、ネコが好きで、個人的に保護活動をしていましたが、ネコを保護した学生から相談を受けたことをきっかけに、去年、サークルを立ち上げました。
学生の担当は、広報活動。
里親募集のポスターを作っているんですが、、、
新屋保護猫いやし処 齋藤晴美代表
「この子は『あざとい系美人』ですね。ベストショットの写真が、小首をかしげてる、すごくあざとい構図だったので、それになりました」
学生たちは、保護猫に、名前とは別のユニークなキャッチフレーズを付けて、SNSなどで発信。
個性をPRして里親を募集しているんです。
藤田アナ
「あとはこの中で気になるものとしたら、『ケツナデカツアゲ』。なかなか思い切ったネーミングしたなって思うんですけど」
齋藤代表
「これ、こうとしか形容できないんですよね。サークルに入ってくるじゃないですか。適当なところに座るとしますよ、そしたら目の前にケツがあるんです。ケツをなでろって、ケツをこちらに押し付けてくるんです」
藤田アナ
「え、今日はでも、どこにいるかな?『ケツナデカツアゲ』」
齋藤代表
「先ほどはあそこにいたんですけど、さっき下に降りてどっか行っちゃったんです」
藤田アナ
「あなたカツアゲ?ケツナデカツアゲ?ケツ、なでたい、けど」
齋藤代表
「自分からいくと、シャイなんで。こいつがケツをカツアゲしに来るまで待たないといけない」
美大生ならではの感性で一匹一匹の魅力を発信しています。
■ネコを救うことで救われる心 ネコも人も幸せな社会を目指して
しかし、保護猫活動には課題も。
にかほ市や仙北市では、野良猫の不妊手術をすると費用の一部を補助してくれる制度がありますが、県や秋田市にはありません。
尾澤夫妻は、エサ代や手術の費用など年間数十万円を自分たちで負担しています。
尾澤教授
「毎年毎年この界隈で、やっぱり母猫が何匹も子猫を連れて来ていて、どうしたもんかなって。キャパがあったらね、保護できるけど、なかなか家にも病気の子(ネコ)もいるから、なかなか保護できなくて。でもあのまま大きくしちゃうとまた子供を産んじゃったりするから、悩ましいとこですよね」
妻・まいさん
「なんか私たち2人とも、言っていいのか分からないけど、うつ病になったことがあるんですけど、ネコを助けるようになってから、全然そんなことになってられないので、時間がないしね。だからネコちゃんを助けることにお金をかけているようで、自分たちを救われてるところが、すごく」
ネコを救うことで、救われた心。
学生
「お邪魔しまーす」
教授
「はーい、どうぞー」
学生
「お邪魔しまーす。こんにちは」
サークルでは、週1回、学生とネコとの触れ合い会を開催しています。
県外出身が8割近くを占める秋田公立美術大学の学生は、ホームシックに苦しむケースも少なくないといいます。
尾澤教授は、自分たちがそうだったように、学生たちに、ネコとの触れ合いで心を癒やしてほしいと考えています。
学生
「本当に1週間の生きがい、それのために生きてると言っても過言ではないくらいの」
学生
「勉強とか課題とか大変だったりするので、遊べたりだとかなでたりすると、本当に可愛いなって癒やされたりしますね」
学生
「ネコ効果は甚大です」
尾澤教授
「ひとり暮らししていて、家では飼えないし、だけど触れ合いたいみたいな、そういう機会っていうか、それは大事かなと思うので。保護猫活動っていうか、しながら、学生たちの心のケアじゃないけれども、まぁ少しでもね、なればいいかなっていう感じですかね」
ネコと人、ともに幸せな社会を目指して。
保護猫サークルは、これからも活動を続けていきます。
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学生たちは、オリジナルグッズを作って、学校祭や地域のイベントなどで販売しています。
里親を希望される方は、電話番号070-4197-0660か、学生が運営しているインスタグラム(@akibi_cat)
[https://www.instagram.com/akibi_cat/]までご連絡をお願いします。
「新屋保護猫いやし処」では、育てられる頭数に限界があるため、ネコの引き取りは行っていません。
ネコを捨てる行為は動物愛護法で禁止されていますので、大学の近くなどにネコを捨てるのは絶対にやめてください。