中国人労働者400人余りが犠牲に 花岡事件から80年 中国から訪れた遺族などが参列し慰霊式 秋田・大館市

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秋田 2025.06.30 18:02

太平洋戦争末期、現在の大館市で、中国人労働者400人余りが命を落とした「花岡事件」から30日で80年です。

大館市で慰霊式が行われ、参列者は、犠牲者を追悼するとともに恒久平和への誓いを新たにしました。

大館市の十瀬野公園墓地で行われた慰霊式には、中国から訪れた遺族4人や関係者など約220人が参列しました。

太平洋戦争末期の1945年6月30日に発生した花岡事件。

旧花岡町に強制連行されていた中国人労働者が過酷な労働などに耐えかね、一斉に蜂起したものの弾圧され、400人余りが命を落としました。

大館市 石田健佑 市長
「たとえどのような状況下であろうとも、人の自由や尊厳を奪う行為は決して許されることではありません。過去のつらい境遇に思いをはせ、二度と同じ過ちを繰り返してはならないと改めて、心に強く誓うものであります」
「決して風化させず、この悲惨な歴史を後世に語り継いでいくことが、私たちの大切な使命であります」

祖父が強制連行されていた張恩龍さんは、「歴史の悲劇は繰り返してはならない。歴史をかがみとし、日中の代々の友好のため、世界の恒久平和のため、たゆまぬ努力をする」と述べました。

花岡事件から、30日で80年です。

強制連行されていた中国人労働者は、すでに全員亡くなっていて、当時の記憶も薄れつつあります。

遺族(中国人労働者の孫)張恩龍さん
「私は何よりも大切なのは、この歴史事実をより多くの人に知ってもらうということが最も大事だというふうに思います。戦争が起こった時にどのような悲惨なことが起こるのか。その家族がどのような悲惨な分裂を繰り返すのか。そうした事実をまず知ってもらう、それが最初のやるべきことだと思っています」

参列者は、社会から記憶が薄れゆく危機感と戦争の悲惨さを胸に刻みながら、二度と同じ歴史を繰り返さず、恒久平和を実現することを誓いあいました。