旅をしながら働く「デジタルノマド」誘致へ スタンフォード大学の留学生が感じた魅力と課題は? 秋田・男鹿市

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秋田 2025.09.16 17:46

みなさんは、「デジタルノマド」という言葉をご存じでしょうか。

電子化などを指す「デジタル」と遊牧民を意味する「ノマド」を組み合わせた造語で、インターネットを使って、特定のオフィスにしばられずに旅をしながら働く人たちのことです。

長い期間の滞在が期待される、この「デジタルノマド」を県内に呼び込もうと、世界トップクラスとされている大学の留学生3人が男鹿市に招かれました。地域の文化に触れながら、「デジタルノマド」の誘致に向けた課題について、意見を交わしました。

男鹿のナマハゲ文化が体験できる、「男鹿真山伝承館」。

今月5日、世界トップクラスとされているアメリカ・スタンフォード大学で経営学を学ぶ、3人の留学生が訪れました。

先月から、インターンシップで日本に滞在している3人。

その受け入れ先のNTT東日本が、県内有数の観光地の男鹿市に「デジタルノマド」を誘致するきっかけになればと、3人を招きました。

ナマハゲ登場
「うおー!うおーい!泣く子はいねがー!うおーい!」

「デジタルノマド」を誘致するためにまず大切なのが、旅行先として選んでもらうこと。

3人は、男鹿の文化に深く興味を持ってくれたようです。

ナマハゲのマネ
「おーい!おいー!」

記者
「ナマハゲは怖かった?」
メキシコ出身・アルフレド メンデスさん
「最初は少し怖かったよ。でも僕たちの中に悪い子や怠け者がいないと気付いてからはフレンドリーに接してくれて、僕たちの幸福を祈ってくれたよ」

カザフスタン出身・ダナ イェリューシズさん
「私が一番驚いたのは、ナマハゲの教育的な側面。子どもたちに一生懸命勉強するように求めているのを知って、その価値観が素晴らしいと思ったわ」

ランチタイムは、入道崎のレストランへ。

店員
「はい、お待たせしました。石焼定食ですね」

あの名物料理をいただきます。

店員
「石の方入れますが、少しはねるかもしれないので、気を付けてもらっていいですか?魚とエビにはもう火通ってます。お野菜がしんなりしましたらもう召し上がれますので。のりはもう入れてもらって大丈夫です」

男鹿の海鮮がたっぷり入ったみそ味のスープに、800度まで熱した石を入れて一気に沸騰させる、「石焼鍋」。

男鹿の海の幸と観光を存分に楽しみました。

サウジアラビア出身・アブドゥラ アルムトラクさん
「とても特別な体験だったよ。いろんなメニューがあったけど、秋田でしか体験できないと思ったから、石焼鍋を選んだんだ」

ダナさん
「とてもおいしいわ。爽やかで温かい味がして、家庭料理のような感じがする。石の香りも個性的で、鍋の味を引き立ててくれているわ」

1泊2日の日程で男鹿市をまわった3人。

最後に訪れたのは、住民の男性が45年かけて作った日本庭園が楽しめる施設です。

男鹿市の職員なども参加した会合で、3人は、男鹿市での「デジタルノマド」の可能性について、率直な意見を伝えました。

ダナさん
「日本はとても安全な国で、また来たいとは思うけど、通訳がいないとどこに行って何をすればいいか分からないと思う」

アブドゥラさん
「僕は地元の人と会うのが好きだから、食事をしたりコーヒーを飲んだりしながら会話がしたい。そういう交流のためのコミュニティがあるとうれしいな」

アルフレドさん
「インターンシップの期間中に滞在していた都内の宿泊施設は、モニターや電話ブース、会議室を備えたコワーキングスペースがあった。24時間365日対応しているのも重要。仕事に時間は関係ないからね。近くには食料品店やレンタカー、ジムなどのサービス施設もあった。少なくとも宿泊しながら仕事や運動ができて、ほかの人と交流できる場所を作ることが必要だと思う」

外国人観光客の旅行と比べて、長い期間の滞在による経済効果が期待できる、「デジタルノマド」。

県内でも誘致活動が動き始めています。