【特集】コメ不足に立ち向かう農家 切り札となるのは「多収米」将来的には自動化も
居根から続くコメ不足によって、店頭に並ぶコメの価格は高値で推移しています。
「コメが高くて買えない」という消費者の声を受け、流通大手のイオンは、来月、アメリカ産の輸入米の販売を都市部を中心に始めます。
価格は4キロで2894円です。
県内の農家からは、県産米の消費が落ち込むのではないかという不安の声も上がっています。
こうした中、より多くのコメが収穫できる「多収米」の田植えが大潟村で始まりました。
国内有数のコメ生産地・秋田県。
コメ不足に立ち向かう農家の動きを追いました。
■コメ不足の新たな切り札に?「多収米」とは
大潟村の田んぼで田植え機が次々と植え付けている苗。
より多くのコメが収穫できる多収米の品種、「しきゆたか」です。
主に業務用に使われるコメの安定供給を目的に開発されました。
涌井徹さん
「日本のコメはみんなおいしいんだから、銘柄米にこだわらず、もっとも多収(米)品種を植えて、それでみんなが安心して食べられるよね。おいしさもあるけれども、(日本の)お米だから安心できることは大事よね」
55年前、大潟村に入植した、涌井徹さん。
数年前から多収米の生産に力を入れています。
さらなる収量の増加を目指し、今年作付けする「しきゆたか」には、ある改良を加えています。
涌井徹さん
「(茎が)短いから倒れにくい。倒れにくいと、肥料をまいても倒れにくいわけですから。去年は余計に(肥料を)まくと倒れて、今年は(改良して)倒れにくい。だから(10アールあたり)15俵、去年が14俵とれたとしたら、16~18俵を狙えるようにした。だから、あきたこまち、コシヒカリの倍、とれる可能性がある」
■コメ不足に農家の減少…多収米の自動化を見据えて
コメ余りの時代から、コメ不足の時代へ。
農業者人口の増加が見込めない中、品種改良による増産がコメ不足の切り札になると、涌井さんは考えています。
涌井徹さん
「日本の農家っていうのは、どんどんどんどん減少してきますよね。(これまでの)55年間、コメ余りだからね。おいしいコメを作ることを善とした(減反)政策だったわけね。多収穫は悪だったわけね。しかし今、農業人口は急速に減ってきて。現在の農業者・農業水準で生産水準を上げるのは、多収穫(品種しか手が)しかない」
生産者としてコメ不足に立ち向かう涌井さん。
多収米の生産は、収量の増加やコストダウンだけでなく、コメ作りの自動化というさらなる先も見据えています。
涌井さん
「(魅力的な)商品を提案するためには、作る人も良し、食べる人も良しでなければダメなのね。かつもう生産者が増にいかない。(将来的には直接種を)ドローンでまく。多少収量が落ちるけど、多収品種だから大丈夫。自動化することによって、ドローンでやることによって、じかまきすることによってコストを下げられるね。だから、技術的にコストを下げることは非常に難しいけれども、品種(多収米)でコストを下げる。だから、日本は世界に冠たるね、こういう技術的なことができる国なんだから、ここにやっぱり力を注ぐっていうことでしょうね」