生態系への影響懸念 鹿角市「大沼」の水位が急減
鹿角市の八幡平国立公園内にある「大沼」の水位がいま急激に下がっています。
周辺の生態系や環境への影響が懸念される水位の低下。
現場を取材しました。↓VTR
鹿角市と岩手県との県境付近に広がる八幡平国立公園。
「大沼」は標高およそ1000メートルの高地にあります。
水辺で多種多様な動植物を観察できる自然豊かな景勝地、大沼。
しかし…。
水戸谷卓記者「水際の部分を見ますとかなり広い範囲で茶色い濡れた土のがあらわになっています。大沼ではこの春から水位が急激に下がり始めたといいます」
八幡平国立公園でガイドなどを行うビジターセンターの職員によりますと、2021年の夏から沼の水が緩やかに減ってきていました。
そしてこの春、雪が溶けたあとにみると、水位がおよそ1メートル下がっていたといいます。
本来であれば、雪解け後のこの時期は豊富な水量となるはずの沼。
木の残がいや水生植物の根が姿を現していました。
水が減っていることについてガイドの工藤公光さんは。
工藤さん「大沼の水位を止めておくためのえん堤の崩壊かなと、 わきから水が流れ出してしまったことが原因だと思います」
沼の南側にあるえん堤は、脇の斜面に大きな穴が開いていて、そこから水が流れ出しているのが分かります。
雪解けで水の流れが強まったことが斜面の崩落につながったとみられています。
穴は今も大きくなり続けていて、沼の水位は今後も低下し続けるおそれがあります。
水位の低下によって周辺の生態系に影響が出ることや、アオコの増殖による水質の悪化が懸念されるということです。
工藤さん「大沼を訪れるお客さんの中には変化に気が付く人もいて『どうしたの』と聞かれることもあります。これ以上水位が低下しないよう保全していただければ皆さん末永く、自然景観を楽しめるのではないか」
大沼を管理する鹿角市は、えん堤の補修を予定していますが、国立公園には重機が入れないなど制限が多くあるため、工事開始の見通しは立っていません。
市は土のうを積むなどの応急処置を検討していますが、根本的な解決にはしばらく時間がかかる見込みです。