ABS秋田放送

2018年03月7日

管区

アナウンサーの内定者は必読です。

アナウンサーになって、ほとんどの1年生が直される読み方(区切り方)に
「管区(かんく)」
という言葉があります。

「管轄する区域」という意味の管区は、よく天気のニュースで
秋田では「仙台管区気象台は…」というフレーズで登場します。

ほとんどの新人アナウンサー そして 場合によっては数年経ったアナウンサーも時々
「仙台管区・気象台は~」と読みます。
全国ニュースでもよく聞かれます。

これが切り間違い、区切り間違いです。

なぜかは気象台の種類だからです。

気象庁の下には全国5つの
「管区気象台」があります(沖縄を除く)。

その下には各都道府県に
「地方気象台」が設けられています。
空港には「航空地方気象台」もあります。

つまり
「管区気象台」「地方気象台」で1語
だということです。

「秋田・地方気象台」は正解の切り方で読めるのに、なぜか「管区」が入ると
「仙台管区・気象台」と読んで、「違うんだよ」と注意されるのが、毎年の春の恒例行事です。

20年も前には田村も「切り方が違う」と教わったものの、最初は
「ふう~ん」と釈然としないままでした。
しかし当時30代だった賀内部長

「『秋田地方・気象台』とは読まないだろ?
 それに 裁判所と一緒だよ。
 仙台高等・裁判所じゃなくて 仙台・高等裁判所
 秋田地方・裁判所じゃなくて 秋田・地方裁判所」

「!!!」目から鱗が落ちた瞬間です。
合点がいきました。

なるほど、世の中の組織や、その仕組み、言葉の意味を考えると、正解に辿り着きやすくなります。
そして似た事例を考えると、正解が見えてくることもあるんですね~

「かいかいしきは 開会式だっけ? 会開式だっけ?
 ああそうだ! 『対義語』を考えれば分かるな!
 閉会式は 閉まる会だから 開会式だな」

裁判所や地方気象台は、まさにその感じです。

世の中には、丸暗記していると通用しない事例がよくあります。
ただ考えて辿り着くと、受験のときに公式を忘れても、自分で作り出せばなんとかなるものです。
でも公式を導き出せる人なら、そもそも忘れないなんていう“マーフィーの法則”的なものもありますが…

さらには賀内部長から
「東北地方整備局」の切り方も
「東北地方・整備局」ではなくて
「東北・地方整備局」だという提示がありました。

もっと言えば「地域振興局」も
「平鹿地域・振興局」じゃなくて
「平鹿・地域振興局」の切り方です。

「地方整備局」「地域振興局」という機関が、さまざまな県には設けられています。
これは東京に住んでいると、なかなかお耳にかかれない機関名です。

地方局に内定しているアナウンサーはお気をつけ遊ばせ。

そして類題。「管区」は海上保安本部にもあって
ニュースでよく聞く「管区海上保安本部」がそれです。

第一管区海上保安本部=1st Regional Coast Guard Headquarters
第二管区海上保安本部=2nd Regional Coast Guard Headquarters
第三管区海上保安本部=3rd Regional Coast Guard Headquarters

各WEBには このように明記されています。

「第一管区」というのがファーストリージョン…
つまり「第一地域の」と英訳されているんですね。

だから分かり易く言うと
「第一管区=北海道」「第二管区=東北」
「第三管区=首都圏」「第九管区=北陸」という地域分けになっています。

ただし
「広域海上保安本部」や「全国海上保安本部」なるものが
あるわけでもありません。

だから 最高裁判所・高等裁判所・地方裁判所のような、頭だけ変わる分類がありません。

本庁の下にすぐ「管区本部」で
その下が「海上保安部」になっています。

奥歯にものの挟まったまどろっこしい言い方をしておりますが
じゃあ

「第二管区・海上保安本部によりますと…」
「第二・管区海上保安本部によりますと…」

どっちが正しいんだ??という意見が出てきます。

公共放送でも「第二管区・海上保安本部」という切り方です。

さっきまで偉そうに「『仙台管区』で切っちゃだめだ」
と指摘していたものの、これは「第二管区」というのが東北の海域を示す言葉なので

「第二管区・海上保安本部によりますと…」の

読みが正解です。

ちなみに警察組織では「管区機動隊」も
「管区警察局」も組織されています。

日常ではなかなか耳にしない言葉「管区」。
なかなか奥深いものがありました。

余談ですが
NHK文化研究所に問い合わせたら、過去に話題になったことがあったらしく
同様の回答がありました。
20年も前にさすがであります。

余談ですが
「秋田放送の田村と申します」と言うと、文研の方は「秋田“放送局”ですか?」と尋ね返します。
そこですかさず「いえ民放の秋田放送です」と伝えると
「ああそうですか」という返答が聞こえてきます。

賀内部長が
「秋田地方・気象台」とは読まないでしょ。

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