シリーズ防災

災害現場に救助隊が到着するまでの間に、私たち一般市民が「何をすべきか」、また、災害に巻き込まれた時に自分の身の安全を図るためのノウハウを紹介していきます。

「家屋倒壊!倒れた建物から人を救え!」 2010年5月24日(月)放送

大震災の時はもちろん、崖崩れ、あるいは土石流の被害で建物が倒れ、中に人が閉じ込められました。
救助隊が到着するまでの間、私たち一般市民ができることは何か?
秋田市消防本部の救助隊・佐藤俊之さんに、そのノウハウを伺います。
倒れた建物から人を救助するにあたって、秋田市消防本部・救助隊の佐藤俊之さんは、まっさきにやるべきことをこう話してくれました。

佐藤さん「救助する側がもし災害に巻き込まれてしまえば、救出しなければいけない人も救出できなくなってしまいます。まず、自分の安全を守るということが第一になります。」

あさ採りワイド秋田便で紹介していく「災害現場で誰かを救出する方法」で一番大切なことは、どんなケースであっても、この一言に尽きると、救助隊の佐藤さんは言います。
助けにいったものの、二次災害に巻き込まれ、被害者が2人、3人と増えてしまえば、救助隊が到着しても、救助に時間がかかってしまうのです。

では、具体的に、建物が倒れ中に人がいるという現場で、二次災害に巻き込まれないためには、どんな所に気をつければいいのでしょうか?

佐藤さん「安易に建物には近づかないこと。二次的な倒壊の恐れはないか?ガスが漏れていないか?など二次災害がないことを確認できたら、そこで初めて要救助者に近づいてほしいです。」

他には、電線が切れて地面に垂れ下がっていないかということもよく観察してほしいことだと言います。
救助中に感電の恐れがある他、漏れているガスに電線からの火花が引火することが考えられます。
倒壊した建物からは火災の恐れも高い確率であるといいます。

こうして二次災害の危険がないと判断できた時、私たちにできることは「被害者への呼びかけだ」と救助隊の佐藤さんは言います。

佐藤さん「『今、助けるね』『がんばってね』という言葉かけ。被災した人は心の拠り所を必要とします。そこで、まず呼びかけをして勇気づけ、元気づけ、安心感を与えることが必要になります。」

5月12日のごくじょうラジオでは、「私が支えられた看護士のあの言葉」というテーマでリスナーからメッセージを募集しました。
病気やケガで気持ちが落ち込んでいる患者にとって、「がんばって治していこうね」とか「苦しいけど一緒にがんばっていこう」といった何気ない一言で治療にむかっていく勇気がわいたという声が多数寄せられました。
被災者にも同じことが言えると思います。倒れた建物にひとり閉じ込められている。この孤独感を軽くしてあげるには、ささやかな言葉かけが大切だといいます。
もし、二次災害のおそれがあり、倒れた建物に近づけなくても、遠くから大きな声で呼びかけをすることが大切です。

そして、私たちの呼びかけに被災者が応じてくれれば、閉じ込められているだいたいの場所を察することができます。
救助隊にとって、これはとても大きな情報になると言います。

佐藤さん「だいたいの憶測がつけば早期発見につながります。状況によっては意識があっても声が出せない場合もあります。そういう時は『何か叩いて場所を教えてください』という呼びかけの方法もあります。」

こうして、被災者がいる場所を確認でき、また、もちろん二次災害の危険がないことを完全に確認できた時、初めて救助活動を行うことができます。

佐藤さん「仮に被災者が下半身だけ挟まっている状態で、救出できる状況なら救出してもらいたいです。まわりにある物で救出できる場合があります。具体的には鉄パイプや角材を使い、テコの原理で重い物をどけることができます。実際、私たちも土砂災害で家屋が埋まった現場で、特別な物を利用したわけではありません。そこに転がっていたバケツや洗面容器を使い、人海戦術で土砂をよせて要救助者を発見したという経緯があります。」

二次災害の危険がないか、まわりの状況をよく観察する時に、使えそうな物を探しておくことも大切です。
ただし、救出に踏み切ろうと思った時には、決してひとりで行おうとはしないでください。
必ず、近くにいる人に協力を求め、できるだけ多くの人に集まってもらうことが重要だと言います。
これは、人数が多ければ救助にかかる時間を短くすることができるということではありません。
ひとりで救助に向かい、もし、二次災害に巻き込まれれば、その2人目を救う人がいなくなってしまうからです。
もう一度、コーナーの最初で紹介した、秋田市消防本部・救助隊の佐藤俊之さんの言葉を思い出してください。

佐藤さん「救助する側がもし災害に巻き込まれてしまえば、救出しなければいけない人も救出できなくなってしまいます。まず、自分の安全を守るということが第一になります。」

人を救うには、まず、自分の安全を守る。これが鉄則なのです。

「出血多量!止血を施せ!」 2010年5月25日(火)放送

自然災害の他、日常の中でも起こる事故などで大量の血を流す被害者が目の前にいます。
そんな時、救急隊が到着するまでの間、私たち一般市民ができることは何か?
秋田市消防本部の救急救命士・佐藤準也さんに、そのノウハウを伺います。


人が血を流しているのを見るのは、思わず目を背けたくなってしまいます。
しかし、状態によっては素早く手当てをする必要があります。
一般に体内の血液の20%が急速に失われると出血性ショックという重い状態になり、30%を失えば命の危険にかかわると言われています。

ところが、流れている血を止めようと無防備に被害者に近づくのは、自分に危険が及ぶ場合があります
秋田市消防本部・救急救命士の佐藤準也さんは、まず、次のことに注意してほしいと呼びかけます。

佐藤さん「注意して欲しいのは、直接自分に血液が触れないようにしてもらうこと。やはり、感染がこわいです。ゴム手袋があればベストですが、ふだんから持っている人は少ないので、コンビニなどのレジ袋を手に覆います。こうして直接、血液に触れでないようにすることが大切です。」

血液など体液に触れることで罹ってしまう感染症の中には、命を脅かしかねないものもあります。
被害に遭ってしまった、すべての人に当てはまることではありませんが、感染症から身を守る重要なことです。

こうして自分の身を守る準備ができたら、いよいよ、止血…、血を止めるための活動を行います。
救急救命士の佐藤さんに、その方法を聞きました。

佐藤さん「直接圧迫止血法と言います。きれいなタオル、ハンカチで傷口をしっかり押さえます。これが一番の止血になります。」

ここまでを繰り返します。
まず、被害者の血液を直接触れないようにレジ袋などで手を覆います。
そして、きれいなハンカチやタオルを傷口に当て、その上から手でグッと圧迫する…。やり方はとても簡単です。

さらに医療情報が書かれているインターネット上のホームページでは、他に次のようなことがポイントとして載っていました。

ひとつは、タオルやハンカチが血で濡れてくるのは、出血している場所と押さえている場所がずれているか、圧迫する力が足りないためです。圧迫する場所を少しずつ変えてみるか、両手で体重全体を乗せて圧迫する必要があります。

ふたつめは、刃物などが刺さっている場合は抜いてはいけません。刺さったものが血を止めているような状態になっているので、抜くと逆に出血がひどくなることがあります。刺さっているもののまわりをきれいなタオルなどで覆って押さえるようにします。

また、秋田市消防本部の救急救命士、佐藤さんによると、血を止める方法は他にもいくつかあるそうですが、血管がどこを走っているかなど、専門知識が必要になるとのことです。

この直接圧迫止血法は、手順が簡単なことと、救急救命士が到着するまでの間では十分な効果を発揮できるので、まず、この方法を確実に覚えてもらいたいとのことでした。

さて、さらに重傷な場合を考えてみましょう。
例えば、手や脚が切断されてしまった人がいた場合です。

佐藤さん「考えとしては同じく、直接圧迫止血法をしっかりします。しかし、手脚の切断となれば特殊な環境下にあると思います。自分の身の安全を考えて、止血をしてもらいたいです。」

救急救命士の佐藤さんが言う「特殊な環境下」とは、例えば自然災害などで建物が倒れたような現場とか、大きな交通事故の現場などです。家屋倒壊については、ガス漏れによる火災の発生や建物がさらに崩れるといったこと。大きな交通事故の現場では車から漏れた燃料に引火し、やはり火災が発生するといったことが考えられます。

人を救助するプロ、救助隊の佐藤俊之さんが話していたとおり、「救助の前に自分の身の安全を守る」という鉄則は、きょうのテーマでも必要なのです。

さて、コーナーの最初に話しましたが、血を流して倒れている人に向かっていくには、なかなか勇気がいることではないでしょうか。
こうした現場に遭遇した時の心がまえを救急救命士の佐藤準也さんに尋ねました。

佐藤さん「まず、自分を落ち着かせ、そして、ケガをしている人も落ち着かせます。例えば119番通報しているとなれば、『もうすぐ救急車が来ます』とケガをしている人にも言いますが、自分にも言い聞かせます。例えば、自分の家族が受傷した時も、大変だとは思いますが、冷静に状況をしっかり確認することです。」

しかし、こうした心構えは何もしないで備わることはありません。
毎日の必要はないと思いますが、せめて年に何回かは、消防が行う「救命講習会」などに参加し、非常時に対処する知識やノウハウを経験しておくべきです。

体を動かすことで、流れを身につけられる。
そして、対処すべき先のことを想像できるようになっていく。
すると、救急救命士の佐藤さんが言う「冷静になる」心構えも育ってくると考えます。

「溺れる人を救出せよ!溺れたらこうして身を守れ! 2010年5月26日(水)放送

台風による大雨などで川の水量が増え、そこに転落といったケースの他、これから、より暑くなっていくと、毎年のように水の事故が起こります。
溺れる人を救うのに、私たち一般市民ができることは何か?
また、万が一、水に落ちた時、自分の身を守るにはどうすればいいかを、秋田市消防本部の救助隊・佐藤俊之さんに伺います。


秋田市消防本部では、小学生や中学生を対象に、また、一般の市民向けに「溺れている人を救助するための方法」を講習会で話しています。
しかし、救助現場の「実際」はとても危険だということを、まず伝えざるを得ないと秋田市消防本部・救助隊の佐藤俊之さんは言います。

佐藤さん「泳いで人を救出するのは容易なことではありません。仮に溺れている人の所まで近づいても、その人を抱え自力で岸まで戻ることは容易ではありません。まして、一般の人が同じことをやろうと思えば、救出に向かった人が一緒に巻き込まれて溺れてしまうということが、全国に多くの事例としてあります。例えば、ひざくらいの水位でも川の流れの勢いが強いと人は流されてしまいます。やはり、水の勢いはあなどってはいけないと思います。」

もし、溺れている人を見つけ救助をする場合は、まず「泳いで助ける」という考え方は棄ててください。そして、救助隊の佐藤さんは、まず、できるだけ協力してくれる人を集めるべきだと説明します。

佐藤さん「例えば、ひとりが溺れ、もうひとりしかいないという時は、ひとりで対処するのではなく、まず周りに助けを求めます。多くの人がいれば手首と手首をつかんで、ひとりが岸のしっかりしたものに捕まって、他の人たちが川の中に入り、溺れている人を捕まえて岸までつれてくるという方法があります。」

この方法を「ヒューマン・チェーン」と言います。何人かの人が鎖のように繋がる姿から、このように呼ばれています。
ポイントは手首と手首をつかみ合うことで、手を握り合うより、この鎖がより強いものになることです。
また、次のような方法も考えられます。

佐藤さん「さらに物があれば、長い棒を差し伸べたり、ロープを投げるという方法で救助できます。」

溺れている人がいて、岸には自分しかいません。まず、助けを呼びに行きます。ひとり、ふたりと協力してくれる人が来てくれて、何か物があれば、それを使って救助を試みます。
その間、ひとりはさらに人数を集める試みをします。
まとまった人数になったら、ヒューマン・チェーンを試みる。届かなければ、ヒューマン・チェーンの先にいる人が、物を利用し溺れている人を救う。考えられる方法のひとつです。

溺れている人を助ける時は「ひとりで、水に入って向かうことは絶対にしない」。これが鉄則です。

さて、万が一、水に落ちてしまった場合、いくつか身を守る方法があります。

佐藤さん「クーラーボックスにしがみついて救出を待っていたという事例があります。ただ、上から覆いかぶさるように捕まっていると、波の影響などで転覆することもあります。そこで、蓋を水面側にし持ち手を下にします。その持ち手を順手で捕まえ胸の方に引き寄せ、背泳ぎするような形で顔を水面に出していると、うまく浮いていられます。」

水の方から見ていくと、水、次がやや仰向け気味の自分、そして、クーラーボックスという順番です。
水から出ているのはクーラーボックスを抱えている胸から上の部分だけです。
水の中にお腹、脚は沈んでいます。
沈んでいる部分が多いため転覆の可能性はずっと少なくなり、常に顔が水の上に出ているので、呼吸ができるのです。

もうひとつ、服を着たままプールに飛び込む「着衣水泳」という講習会に参加された人や、聞いたことがあるという人も少なくないと思います。 これも、水に落ちた時、身を守る有効な手段だといいます。

佐藤さん「服の中には若干の空気が残っています。また、運動靴にも浮力があり、この姿でうまくバランスを取ると体を浮かすことができます。ただ、講習を受けてそのやり方をマスターしていないと、とっさの時には難しいと思います。」

救助隊の佐藤さんが言うとおり、こうした講習会を受けることはぜひ、勧めたいと思います。

訓練に訓練を重ね、ライフジャケットや命綱、時にはヘリコプターを使うなど、フル装備の救助のプロでさえ、溺れる人を救うのは難しいことなのです。
一般市民が溺れる人を助ける時に背負ってしまうリスクは想像以上と言っていいでしょう。

まず、水に落ちないように細心の注意を払うこと。
そして、万が一の時のために、身を守るノウハウを身につけておく「備え」が大切だということです。

「心肺蘇生法!止まった鼓動を動かせ! 2010年5月27日(木)放送

現在、救急医療の現場では「心臓停止からおよそ3分での死亡率は約50%」と言われています。
これに対して、救急車が現場に到着するまでの平均時間は6分かかるというデータがあります。
しかも、これは全国平均です。消防から距離のある場所や交通事情によっては、もっと時間がかかる場合もあります。

心臓が止まってしまった人に遭遇した時、私たち一般市民は、迷わず、その鼓動を動かす処置をするべきです。
秋田市消防本部の救急救命士・佐藤準也さんに、そのノウハウを伺います。

倒れている人がいます。
まず、反応を確認します。「大丈夫ですか?」など、倒れている人の耳元で大きな声で呼びかけます。
この呼びかけに対して、目を開けなかったり、何の返答がなかったりした時、心肺蘇生法やAEDによる救命処置を行わなければなりません
まず、最初の手順を秋田市消防本部・救急救命士の佐藤準也さんに聞きました。

佐藤さん「反応がなければ助けを呼び119番通報をしてもらいます。AEDがあれば、AEDを持ってきてもらうようにお願いをします。それから心肺蘇生法に流れていきます。」

この時、AEDの準備を待つのではなく、協力者にお願いをしたらすぐに心肺蘇生法に移ります。
もし、協力者がいない場合は、まず、自分で119番へ通報し、それから心肺蘇生法を行います。

まず、人工呼吸を2回です。
倒れている人の口に、自分の口をつけて息を吹き込みますが、救急救命士の佐藤さんは、この時、感染症に気をつけてほしいと言います。

佐藤さん「感染防止の道具があれば使ってもらいたですが、なければ、ハンカチなどを口につけ、間接的に…、口に触れないようにすれば感染は心配ありません。しかし、もしそういうものもなければ、人工呼吸を省略して、すぐに胸を押す『胸骨圧迫』をしてもらうことになっています。」

出血を止める方法でも挙った「感染症」への注意はとても重要です。
現在、市民を対象に行われている救命講習会などでも、何も道具を持ち合わせていない場合は、人工呼吸を省略できると教えています。

さて、次に心臓動かさなくてはなりません。胸の骨を強く押す「胸骨圧迫」を行います。

佐藤さん「乳頭と乳頭の真ん中に手を置き、胸が5センチ沈むくらい、しっかりと30回押します。テンポは1分間に100回のペース…これを守って押します。」

胸が5センチ沈むくらい力をかけ、1分間に100回のペースというスピードで行うには、正しい姿勢でないと救助者の体力が消耗します。腕で押すのではなく、ヒジをまっすぐに伸ばし、倒れている人の胸に垂直になるようにします。そして、手の付け根の部分に体重をかけるように押すのが正しい姿勢です。

できるのであれば人工呼吸を2回、そして、胸骨圧迫を30回
これを1セットにして、救急隊が到着し、隊員の「OK」の指示が出るまで、絶え間なく続けます。

しかし、ひとりで行うにはとても体力を必要とします。協力者がいる場合は交代で行います。また、倒れている人がうめき声をあげたり、普段どおりに息をし始めた時も心肺蘇生法を中止します。
そして、心肺蘇生法を施している途中でAEDが届いたら、その準備を始めます。

佐藤さん「AEDにはコンピュータが入っていて、電気ショックが必要かどうかという波形を解析します。そして、必要があれば電気ショックをかけ、なければ、電気ショックをかけません。AEDをつければ、必ず電気ショックがかかるというわけではありません。AEDは音声が出るので、それに従って操作をしてもらえると大丈夫です。」

AEDにはいくつかの種類がありますが、どの機種も同じ手順で使えるようになっています。
しかし、電気ショックを施す時には、倒れている人に誰も触れていないことを確認する必要があるなど、注意点もいくつかあります。

AEDの使い方はもちろん、心肺蘇生法のノウハウや、なぜ、こうした処置が必要なのかということを講習会などで学んでおくことが、勇気を持って応急手当を施せるようになることにつながります。
そして、あなたの素早い処置が、尊い命を救うことになるのです。

「火災発生!初期消火の効果と限界2010年5月28日(金)放送

佐藤さん「火災はどんどん大きくなるものなので、拡大していく炎を自分たちで何とか抑えようとするのは大変危険です。無理をすれば取り返しのつかない、死に至る事態にも巻き込まれてしまいます。だから、初期の段階で手を打てば、消火ができれば、それに越したことがありません。」

こう話すのは秋田市消防本部の救助隊・佐藤俊之さんです。
今回、あさ採りワイド秋田便では「災害現場から被害者を救う」ために、救助隊や救急隊が到着するまでの間、一般市民ができることを考えてきましたが、火災の現場から素人が人を救助することは不可能です。

私たちができることは、まず、火を出さないこと
そして、万が一、火事になったら、初期消火に務めることです。
その方法と限界について考えます。


天ぷら鍋の油に火が燃え移った。炎がどんどん大きくなる。
この例を取り上げて、どう初期消火に務めれば良いかを秋田市消防本部・救助隊の佐藤俊之さんに聞きました。

佐藤さん「最初に火事ぶれをして消火器で消火します。その時、炎に消火器を向けるのではなく、燃えている火元に向かって履くように消火器を向けてほしいです。」

燃えている火元とは、この場合、天ぷら鍋の中の油です。
ところで、もし、消火器がなかったり、あるいは不具合を起こした場合には、他の物を使って初期消火を行うこともできると言います。

佐藤さん「天ぷら油が入った鍋より大きな鍋で蓋をします。濡れた毛布を、よく水を切って覆い被せるという方法があります。薄いシーツだと酸素の供給を遮断する前に、シーツが燃えてしまう場合があるので、薄手の物は使わない方がいいです。」

ここでは毛布は濡らすものの、水をよく切るのがポイントです。
毛布から水が滴り落ちると、油が跳ねて、他の所に火が燃え移ることがあるからです。

さて、インターネット上のサイトで「天ぷら鍋から火が出たら野菜を入れると良い」とか「マヨネーズで消し止められる」といった、生活の知恵を謳ったものがあります。しかし、これは大きな間違いです。

佐藤さん「実際は野菜を入れることで、野菜についている水分で油が跳ねてしまいます。マヨネーズも炎を覆うだけの量があれば、酸素の供給を遮断するという意味で『これは有効』と言われていると思いますが、成分が油なので、逆に火災を拡大させてしまうようなことがあります。消火方法として推奨できません。」

繰り返します。
天ぷら鍋に火が燃え移った時、野菜やマヨネーズを入れる方法は、大きな間違いです。
絶対にやらないでください。

さて、家の中で燃えやすいものに、暖簾やカーテンがあります。
こうした物への対策方法を救助隊の佐藤さんに聞きました。

佐藤さん「暖簾やカーテンは一度火が点くと上の方に一気に燃え広がるので、防炎加工された燃えにくいものを使う方法があります。クリーニング店で防炎加工できる所もあります。店に問い合わせてみてください。」

カーテンや暖簾は上の方に燃え広がらないような対策を打つ。
上の方、つまり、天井への延焼を防ぐことが、大きなキーワードなのです。

佐藤さん「炎が天井に燃え移るまでが初期消火の限界と言われています。炎の勢いで天井まで燃え広がってしまえば、初期消火を諦めて、火事ぶれをしながら避難することになります。」

もし万が一、火を出してしまったら、被害を最小限にとどめるために、火事の発生を早く知る必要があります。
そのために設置するべきものが、「火災報知器」です。
そして、いち早く初期消火に務めるか、火事ぶれをし避難することが、一般市民にできることなのです。

倒壊した建物からの救出、出血多量の人の血を止める方法、溺れている人を救う方法、心肺蘇生法、そして、火災発生時の初期消火の方法、このすべてに共通していることがあります。

まず、人を救う場合には、その前に自分の安全を守ること。
次に知識だけではなく、実際に講習会などに参加し体を動かして、その方法を覚えておくことです。
毎日ではなくても、年に何回かは訓練を受ける、そうした備えが大切だと考えます。